第4話 泣きたくなって

「だから、言っただろう?」


「………………………………そんな昔の話なんか、覚えてないぞ!」


ホントは、しっかりと、記憶していた。

桜井だけが、最初から早耶との交際を反対していたんだよな。


「まあ、もう済んだ事だ。それより、どうするんだ?」


「……………………どうって?」


「関谷と早耶に、お仕置きしないとな!」


「……………………出来るのか?」


「よかったら、任せろ!悪いようにはしないぞ?」


新電波塔タワーがよく見える、夜景が素敵なレストランで、野郎二人でディナータイム。

周りはカップルだらけだな。

あっ、奥の方に、女子二人が、一組居た!

早耶と二人で来るつもりで予約していたんだがな〜。

当日キャンセルは払い戻しが無いと言われたので、桜井を誘ったんだ。


「ん、美味いな!」


「そうだな、無料飯無料酒は、美味いな!」


「……………………もっと、他の言い方は出来ないのかよ!」


「なんだよ、慰めてほしいのか?」


昔から、こういう奴だったな。

今は、かえってありがたいが。


「で、任せるとして、どうするんだ?」


「指輪、渡してあったんだろう?実質、早耶の奴との婚約が成立していると見做される状況だから、弁護士入れて二人に内容証明送ってみるよ。二人の実家にも送るからな。」


そうだった、桜井の実家は、法律事務所だったな。


「わかった、任せる。費用は後で請求してくれ。」


「ん〜、サービスしとくよ。お前にはたくさん助けられてるからな。たまには、役に立ちたいからな。」


「……………………そんなつもりで、お前と付き合ってるわけじゃ」


泣きたくなって、くるじゃないか!


「いいって、任せろ。って、おいっ、泣くなよ!」



※※※※※※※※※※



「だから、言ったじゃないのよ!」


「そんな昔の話なんか、覚えてないわよっ!」


ホントは、しっかりと、覚えていたのよね。

結良だけが、最初から俊との交際を反対していたのよね。


「まあ、もう済んだ事だし。それより、どうするの、これから。」


「……………………どうって?」


「俊と美穂に、お仕置きしないとね!」


「……………………出来るの?」


「任せなさい!悪いようにはしないから。」


新電波塔タワーが良く見える、夜景が素敵なレストランで、女子二人でディナータイム。

今日、急に予約したから、奥の方の席で電波塔は殆ど視界に入らないけど、他の夜景は良く見えるわね。

周りは、カップルだらけだわ。

あっ、窓際に、男子二人が、一組居たわ!

特等席だわね、羨ましいわ。


「で、どうするの?」


「指輪、貰ってあったんでしょう?実質、俊の野郎との婚約が成立していると見做される状況だから、専門家入れて内容証明送るから。二人の実家にも送るわね。」


そうだった、結良のお兄さん、弁護士だったのよね。


「わかったわ、お願い。費用は後で請求してね。」


「要らないわよ、あんたには、いつも世話になりっぱなしだからね!」


「……………………そんなつもりで、あなたと付き合ってるわけじゃ」


もう、我慢できない、泣きそう!


「いいのよ、任せて!って、泣かないでよっ、もうっ!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る