第13話:それぞれの動き
〜まえがき〜
先日は更新をど忘れしておりまして、さらに書きだめの推敲も行えていませんでした。ですから、一日遅れの更新となってしまいました。
本当に申し訳ない!
それでは、本文の方も読んでいただけると嬉しい限りです!
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ある配信サイトにて。
『おい、なんか画面落ちたぞ』
『これ放送事故?』
『どうやらとんでもねぇ現場を見ちまったみたいだな……』
『こんなところに居られるか! 俺は出ていくからな!』
『通路が真っ暗だから配信画面も真っ暗ってか! わはは!』
『いや、大喜利してる場合じゃないだろw』
『え、二人めっちゃ落ちたけど帰ってこられるのか?』
『まあ、ダンガーあるし大丈夫じゃね? 流石にこんな凡ミスするとは思えんし、演出では』
『それ。演出やろ、普通に考えて』
『ダンガーも餓死とかは避けられんぞ。あんまり普通じゃない探索すると、不具合で発動しないこと多いし』
『つまりマズい……ってコト⁉』
それから、画面が付いた。
画面に移ったのは三人。
「いやー、マズいですね……流石に、これは二人を探し出すのが最優先ですよね! あ、カメラに関してはちょっとトラップに掛かったせいでちょっと異常が起きただけです」
その顔にはあまり焦りといったものは浮かんでいなかった。
「だな。まずそっちが最優先だ――ダンガーが普通に発動するといいんだが」
『お、戻ってきた』
『じゃあ演出か。流石にあの状態で配信続けるとは思えんし』
『しかも動揺してないのバレバレですよ。普段の性格が祟っててワロタ』
『えぇ、本当に演出なのかこれ?』
「それで、こっちの方は協力してくれると言ってくれた方です。よろしくお願いします」
「え、ええ。よろしくお願いします」
彼女は、最初に元気よく挨拶していた
「さてと、それじゃあ二人が居るであろう深層に向かいますか。鍵の先は危険なので行きませんが、予定通り通路の先のショトカ使って下行きましょ」
連理が声を掛けると、二人もそれに着いていった。
◇
連理一行が何を考えているのか?
それを語るには、まず
二人が落ちたとき、カメラにもトラップによる攻撃が当たっていた。あれは殺傷が目的ではなかったのか、軽い衝撃のみがカメラに伝わり、一時的に配信が停止したのだ。
だから、その間に連理は秋花に判断を仰いでいた。電話が繋がるエリアだったことは、果たして不幸中の幸いと言えるかどうか。
『つまり今はさ、配信止まってるってことだよね?』
「ええまあ、止まってますけど」
『――じゃあさ、これ演出ってことにできない?』
「え?」
『いや、確かに二人には本当に申し訳ない――けど、これでウチに対して
「そこは今重要じゃなくないですか? まずは急いで捜索すべきです」
『それはもちろん。でも、演出ってことにしても捜索はできるでしょ?』
「まあ、そうかもしれませんが……」
顔をしかめながらも、連理は同意する。
『だからごめん、お願いできるかな?』
「……そうですか。まあ、分かりました。やってみます。でも、二人の命が最優先ですからね?」
確かに、救出自体はどちらでもできる。なら、隠蔽したほうがいいのだろうか。そう思った彼は同意した。
『当たり前だよ――とはいえ、ダンガーが発動してくれるんだったらそれでいいんだけどね。二人から連絡入ったら、普通に救出できたってことにしてね。じゃああとヨロシク!』
無理に明るくしているのか、それとも単に何も気にしていないだけなのか。秋花の声に陰りはなかった。
「……分かりました」
秋花への不信感が
(確かに利益はあるけど、最初にそこを考えるか……? 今、このタイミングでこれを隠蔽する意味は?)
連理は疑問に思う。
(何か、やましいことがある?)
柄にもない考えが彼の頭をよぎった。それから、
かくして、連理と零夜の事件隠蔽パーティーメンバー救出作戦が始まったのだった。
◇
ともあれ、まず連理は零夜にその
「――秋花先輩からはそう言われた。だから、零夜も協力してくれ」
「なんだそれは。演出って、確かにイメージは大事かもしれないが……」
「なんでだろな。俺もよく分からん。でも、何か考えがあるんだろ。それに、一応言われた通り捜索は演出をやりながらでもできる――納得いかんけどさ」
「……そうか、まあ、そういうことなら」
零夜も渋々了承する。
「ぬわー! みんなどこ行ったのよー!」
それから、洞窟の奥の方から騒がしい悲鳴が轟いた。耳をすませば、その中に金属音も混じっていた。
「……なんか向こうが騒がしいな」
「そ、そうだな。ちょっと見てくるか?」
困惑しながらも、二人は声がする方角へと向かうことにした。
そうやって
◇
静かな洞窟の中。二人の少女が通路の陰に隠れていた。
「……敵が一体だけ居ます。処理していきましょう」
「は、はいよ」
緊張した面持ちで返事をする。天音は銃に魔力を込めながら、詠唱を行った。
「――氷結よ。我が名に応じて
同時に飛び出し、敵に向かって射出する。その先に居たのは、一体の狼の魔物だった。炎のような赤い
それは敵の頭部に命中し、氷と霜を発生させる。
さらに、困惑している敵に向かって明里が前進し、至近距離でショットガンを一発撃ち込む。
「グオォ!」
狼がのけぞり、さらにそこに後方から炎の弾丸が発射される。高い温度差に大きな痛みを感じながら、狼は暴れまわる。
「これでもっ!」
明里はさらにショットガンを二発撃ち込んだ。
角が振り回される中、さらに天音の氷による追撃が頭部に命中し、その狼は地面に倒れ込んだ。
合間にコッキングを済ませた明里が、相手の頭部に向けて一、二、三、四とマズルフラッシュを瞬かせる。
四発撃ち終えた頃には相手は物言わぬ亡骸と化していた。
「……終わった」
さらさら、と体の端から赤いピクセルを出しながら、狼は消えていく。
「ありがとうございます、いい仕事でした」
「ねぇ、別にこんなにやらなくてもいいんじゃない? なんか怖いよ?」
今回の戦闘の中で行われた行動のほとんどは、天音の指示によるものだった。不意打ちで相手を削ってから、ショットガンで大きなダメージを与える。そして敵を倒せたと思っても、最低二発は打ち込むこと。
層が低い分、慎重に慎重を重ねて戦うべきだ、と天音は言っていた。
「命が掛かっていますから。必要なことです」
天音はすました顔で言い放った。
「じゃあスキル使った方がいいでしょ……?」
「それは危険な時にだけ使います。なくても倒せるなら、温存した方が安全です」
「それは、そうだけど……」
天音はそれだけ言うと、明里を置いて歩みを進めた。
「ねぇ! ちゃんと説明してよ!」
明里は天音の肩を掴んで、ぐっと振り向かせた。
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