第7話 無慈悲な無属性

「無属性には弱点がないという話はしたわよね」

「ああ」

俺は頷いた。

「それって言い換えちゃえば強みがないとも言えるのよねぇ....いやまぁ弱点がないってのが強みなんだけど」

とリンは言った。

「ようはどの属性のも効くってことだろ?」

「おおまかに言うとそうね」

俺はなんとなくリンがう〜んとなっている理由が分かった。

なるほどね....効かない属性はないけど、その代わり聞くってだけで有効打にはならないってことか。

「まぁ、なんとなくそういうことね」

「あの、さっきもそうだけど人の心読むのやめろ」

と俺が言うが、

「無属性には弱くも強く出れる属性がないのよ」

と、華麗にスルーされてしまった。こいつのスルースキルは一体どこで鍛えたんだ。

「けど意外と破格の性能じゃないか?」

「え?」

「だって、無属性が弱点の属性はない.....その代わりに全属性に効くんだろ?だったら例えば全属性がいるモンスター達が襲撃に来ても無属性覚えとけば余裕で倒せるじゃん」

「言っとくけど、無属性って使えるのってマジで特殊だからね?」

「え?」

俺は意外と間抜けな声を出した。

「無属性自体が稀なの。無属性が使える人は逆に無属性しか使えないのよ」

「どういうことだ?」

「無属性はなぜか他を嫌う性質があってね......その性質上、無属性が使える=他属性が使えないのよ」

「苦手な属性とは、また違うってことか?」

「そうね。ただ、例外としてアルミストは違うわよ」

「アルミストに関しては全魔法が使えるんだもんな」

本当に、アルミストってこの世界ではチートなんだな。

「まぁだから無属性ってのは覚えといて損はないわね」

「じゃあ、無属性も教えてもらうか...」

.........あれ?

「そういえば、なんでリンって無属性にそんなに詳しいんだ?」

「え?」

「だってその言い方だと俺に教えられる感じだろ?リンって無属性じゃないし.....」

「ああ、そういうことね。それなら本を読み漁ったってだけよ」

「.........ほんと、リンの知識欲ってなんなんだ」

「伊達に数千年生きてないわよ。今までに読んだ冊数は億を超えるかもしれないわ」

「ええ.......って、数千年生きているのなら普通か」

「あれ、私は全然普通じゃないと思っていたのだけど...?」

とリンは言った。自身のアイデンティティだとでも思っていたのだろう。

「確かに俺らの世界だと数千年生きたとしても無理だろうな。けど、この世界なら可能だろ?仕事や学校もないんだし...」

「まぁ確かに....」

......俺らの世界の学校や仕事について知ってんのか?......いや、俺以外にも<ワーリスト>に巻き込まれているんだろうし、その人が本でも書いたんだろう。

そう無理やり俺は納得することにした。

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