第32話 クリスマス・イブ・イブって結局平日
クリスマスが翌日に迫っていたというと、一般的には24日のイブが近づいているのか25日のクリスマス当日が近づいているのか分かりづらい。
そもそも、クリスマス・イブって、どんな日だろう……
クリスマス・イブとは、「クリスマスの前の日」という意味だと思っている人がおそらく日本では大部分だろうと思う。俺もそう思っていたもん。
確かに「イブ」には「前日」という意味がある。だからこそ「クリスマスの前日」という理解のしかたをして、
「なんか、クリスマスって、本当のクリスマスの日よりもイブの方が盛り上がってるじゃん」
などというよくある発言につながるわけだ。
で、なんでクリスマスはこんな前日ばかり盛り上がるのだろうと、暇なときに調べてみたことがあった。
実はクリスマス・イブの「イブ」は、「前日」「前夜」の意味の「イブ」ではない。
ではこれは何を意味する言葉かというと、「イブニング」の略である。「イブニング」とは「夜」のこと。つまりクリスマス・イブは、「クリスマスの夜」という意味だった。
「いやいや待て待て、クリスマスは24日ではなくて25日なんだから、クリスマスの夜は25日の夜になっちまうじゃん」と調べた時に思ったね。
確かにクリスマスは12月25日のことを指す、これ自体は間違いではない。ただ、問題なのは時間の区切り方なんだとさ。
詳しい説明は省くが、俺らが通常使っている太陽暦と、クリスマスを定義している「教会暦」では日付の区切り方が違うらしい。
「教会暦」では日没の時間で一日を区切る、「教会暦」でいう24日は、24日の太陽が沈んだらおしまい。24日の夜、日没後は「教会暦」では25日となる。
そして翌日、太陽暦で言うところの25日の日没をもって、「教会暦」の25日は終わり。
つまり、クリスマスとは太陽暦でいうと、「24日の日没から、25日の日没までの間」を指す。
すると「クリスマスの夜」となると24日の夜しかないわけで。だから、正確には「クリスマス・イブ」は24日全体を指すのではなく24日の夜だけのことをいう。
そして俺らがクリスマスの前日だと思っていたクリスマス・イブは前日ではなく、れっきとした「クリスマスの真っ最中だった!」ということになる。
「クリスマス当日より、その前日のイブの方が盛り上がってるじゃん」
という指摘はまったく的外れであることがよくわかる。
クリスマス・イブはれっきとしたクリスマスなので、堂々とクリスマスとして盛り上がればいいのだ!
というのをなんかのブログで見た。
まあそんな蘊蓄決めてもよくてその場で盛り上がるだけで、結局イブが一般的には24日であることは変わらない。
そんで本日は、イブの前日の23日である。つまり、一般的に言うところのイブのイブであり、翌日に華音とデートに行くことになっている。なのに今日、ディナーを手配していないことに気づいた。
最近の俺は馬鹿か!さすがの仁えもんもお手上げなのか、メッセージの返事が『www』だけだった……
ダメ元で数軒レストランに電話したが、当然キャンセルも無く店員から鼻で笑われた。
途方に暮れていると、
「明日のお食事は腕によりをかけますから、レストランとか予約を取らないでくださいね?」
地獄に仏とはこの事か?救い主、聖母マリアさまがここに居た!
「ありがとう助かった……ホントにどうかしてるわ」
「なんのことですか?私がお料理を作りたいだけですよ?」
えっ?なにこの女神さま……惚れさせる気か?
「そうか……ところでなに作るんだ?」
「内緒です♪」
「あらま、内緒ですか……」
「はい♫」
女神さまの計らいで事なきを得た……良かった……
そして女神さまは明日の仕込みを終わらせると意気揚々とお帰りあそばされた。
明日はちゃんとしなきゃ……
◇◆◇◆
お読みいただきありがとうございます。
めちゃくちゃ短いですけど今回はここまでです。
こいつら約束の日の前日に普通に会ってるんだもん、核心に触れずにどう話を展開できるの?私には無理でした。ごめんなさい。
次回も読んでいただけると嬉しいです。
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