過酷な世界で、少年は大きくなっていく。胸に始まりの火を灯して──

「ぼくは恩や情で戦えるひとになりたい」
作中で、ぼくが強く思った言葉。
これが少年の生き様を端的に表しているのではないかと思います。

親から離れ、崖下の世界に落ちた少年。
美味しい料理もない。ふかふかのベッドもない。親しくできる人たちもいない。
サバイバル生活の始まり。
自分の力で食料を手に入れ、魔獣と戦い、倒した魔獣で武器を作る。
精霊と契約を結んだものの、会話は成立しない。
孤独で、不便で、過酷。
その中で、少年は這い上がっていこうとします。許せないものには、全力で立ち向かっていきます。
大義、恩、情。それらが少年を突き動かしているように感じられて、シビアなサバイバル生活なのに読後感は爽やか。少年を力いっぱい応援したくなります。

少年には、優れた能力や特別なスキルがあるわけじゃない。落ちこぼれ。
でもだからこそ、必死に生きていく様がかっこいい。
綺麗なお姉さんと可愛い女の子に会える日が来るといいね(綺麗なお姉さんの手を握りたいという率直な願望が、男の子らしいです笑)

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