心の内に熱さを秘めた救命士の物語

10月10日現在、最新話16話まで読んでのレビューになります。

コミュニケーションが苦手だけど人間嫌いとかではなく、自己責任で命のやり取りをする迷宮探索者を生業にしながらも、死にかけている人がいれば全力で助け、4000万円の剣を犠牲にしても「いいよ、これくらい」と自腹で済ませる超善人の主人公。寛容さが菩薩かな?

ともあれ、思ったことを出力するのが下手なだけで、少し天然気味でズレた事を色々と考えている彼女と、そんな彼女を見守る親戚のおじさんみたいな視聴者達の掛け合いが小気味よい笑いを誘ってきます。というか、読んでいて自分も一視聴者みたいな感じでいつの間にかお嬢を応援しているんですよね。そこがまた楽しい。

さて、そんな感じで物語は序盤ゆる~く進んでいきますが、中盤からは一転、危機的な状況に立ち向かう熱い展開が繰り広げられます。これがもう本当にかっこいい。主人公だけじゃなくて、周りの人たち全員かっこいい。話の流れでかっこよさげなことを言わされているんじゃなくて、それぞれの行動、感情、そういったひとりひとりにリアリティのあるキャラクター達が読者に感情移入をさせてくれる。

いや、本当に面白かった。
話数があまりに少ない作品は普段なかなか手に取らないのだが、あの時何気なくこの作品を読んだ自分を心底ほめてやりたいと思うぐらいです。大変良い作品に巡り合えました。

気になった点と言えばファンネームは結局何になったのか、それと日本赤療字社、正確にはその上層部の印象があまりよろしくないところでしょうか?

ファンネームについては単純に興味なので、お嬢に熱中している“患者”達とかになるのか、どんな呼び名になるのか一視聴者として楽しみにしています。

日療に関しては主人公の雇用契約内容が描写されていないので、「装備は数千万から数億円の物を自前で持ち出し」「初任給で買ったのが安物の剣」といった断片情報から超絶ブラックなのではと勘ぐってしまう。有名団体なのに主人公以外の所属探索者を視聴者が知らない辺り、主人公以外誰も探索者が所属していないのだろうか。

流石に消耗品とかは支給されているだろうが、貴重な人材に対してバックアップや金銭的還元があまりにもされていないように見えてしまい、現場レベルの人たちはともかく、上層部に不信感を感じるが……。

16話でもひとまず綺麗に終わってはおりますが、今後も物語が続くのならばそのあたりにも触れてくれると嬉しいかも?