第7話

 °・.*·〇·………………………………·〇·*.・°




 月にいるどの生き物とも違う


 私の半身はんしん優義ユウギさん…


 彼を理解出来なくて


 正直頭を抱えていた…




 〇.*・。┈┈┈┈┈┈┈。・*.〇




【月と通信中】


 地球へ降りた場所の海岸

 相手は両親

 姿は見えず、私にだけ、声だけが聞こえる。



「問題はないか?」


「人間とは不思議な生き物ですね」


「ははっ…人間を理解せずともよい

 白くなれ…それだけでよいのだ」


「…はい」


「では、ひと月後に回収する」


「お願いします」


「誰よりも美しく、になって

 帰っておいで」


「はい」


「頑張るのよ愛実アミ


「…はい」



 お母様…

 私は優義ユウギさんと

 いったいナニを頑張れば良いのでしょう?


 聞きたい事を聞けずに通信は切れる。

 半身はんしんには無事に出逢えたんだもの

 …【_月】の意味もきっと分かるはず!




 〇.*・。┈┈┈┈┈┈┈。・*.〇




 優義ユウギの部屋に転がり込んで

【2日目:映画館】


 優義ユウギさんが望もうが望むまいが

 ひと月を共に過ごさなくてはならない。


 私の中で優義ユウギさんは

 半身はんしんだと確信しているし

 彼を理解出来なくても嫌いではない。


 それならば、お互いをよく知る為にも

 少しでも長く共に過ごそうと

 すぐ部屋に引きこもる彼を連れ出す。



 優義ユウギさんは迷惑そうに


「だるい、眠い、面倒臭い」


 そして挙句の果てに



「一人で行け…」


 と、私を遠ざけようとする。

 


 冷たくされても引くわけにはいかない

 諦めず、無理やり手を引いて連れ出す。



「私はこの街をよく知らないから

 迷子になって帰れなくなります!」


 こんなに面倒臭い生き物は初めてだ…



 心優ミユウさんから


優義ユウギは音楽バカだから

 デートなら音楽関連にしな」


 と言われ、ミュージカル映画を鑑賞。



 すぐに寝るかと思いきや

 しっかりと観てらっしゃる。


 やはり音楽バカなのだろうか…



 そして私は

 映画鑑賞をする優義ユウギさんを鑑賞して



 いつの間にか夢の中へ…


 …(U ֊ _ ֊)…zzZ




 〇.*・。┈┈┈┈┈┈┈。・*.〇




 心地よい眠りの中からゆっくり浮上する。



 ん〜よく寝……た…!?


 えっ!? Σ(⊙_⊙)


 ……何事ぉ?????



 一瞬 焦点が合わない程、すぐ目の前に

 優義ユウギさんの顔があった。


 キョロ(´⊙ω⊙`≡´⊙ω⊙`)キョロ


 目だけを動かし周囲を伺い状況判断…


 どうやら私は彼の膝枕で寝ているようだ。


 そして彼も…寝てる?



 睫毛の一本一本まで見える程の距離…

 透き通るような白い肌にはうぶ毛も見える


 触ってみたい…な


 息をのみ凝視していると

 優義ユウギさんの睫毛が揺れ

 ゆっくりと瞼が開き始める。



 …ハッと我に返る


 ピョーン!! εε≡c⌒っ゚Д゚)っ


 慌てて飛び退き

 思わず見とれていた自分に驚く。



 ジーッ…|q •ㅿ• )???

 見とれてしまった…


 初めての経験…ドキドキ???


 他所よそのうさぎと

 関わる事が少なかった私は

 こんなに間近に誰かの顔を見るのは

 初めてだった。



 そして我に返り

 無防備に彼の膝枕で眠っていたことを

 不思議に思う…

 身内以外に警戒せずに眠るなんて

 有り得なかった。



 身内でもないのに安心して眠ってた?

 でも…きっと…

 半身はんしんだからよね?


 …そう自分を納得させる。



「ンがっ……」



 優義ユウギさんが顔を上げた。


 起きた?


 近づいて顔を覗き込む。


優義ユウギさん?」


 目は半分しか開いておらず

 焦点も合っていない。


 眠そう…




 〇.*・。┈┈┈┈┈┈┈。・*.〇




 映画が終わって隣を見ると

 愛実アミはぐっすりと眠っていた。


 起きそうにないので

 休憩スペースのベンチソファに寝かせた


 無防備に眠る愛実アミを置いて

 離れるわけにもいかず…

 すぐに起きるだろうと思い

 膝枕で寝かせていたら

 いつの間にか俺も落ちたらしい。



 名前を呼ばれ…

 うっすら開いた視界いっぱいに愛実アミの顔


 シャラン♬.・*’’*・.♪。.:*・♪。


 そして何故か頭の中に

 どこからともなく


 シャララ.・*’’*・.♬.・*’’*・.♬


 心地よい音が…溢れてくる



 夢でも見ているのかと思ったが

 気のせいじゃない…

 次々と新しいメロディが生まれてくる。



優義ユウギさん?」


 愛実アミの声に音が消えそうで



「黙ってろ」


 つい、キツイ言い方になる。


 再び目を瞑り、音を探す。




 〇.*・。┈┈┈┈┈┈┈。・*.〇




「な…起きたと思ったら、黙ってろ?」



 (U`ロ´)ノムキー!!!

 なんなんですかー!


 私は立ち上がり優義ユウギさんに背を向けた。



 少し離れた場所に

 アイスの自動販売機を見つけた。


 怒りを沈めよう!甘い物を摂取だ!



 半身はんしん相手に喧嘩して

 離れるわけにはいかない、ここは我慢。



「どれにしようかな…」


 地球の食べ物はどれも美味しい。

 甘い物は特にね♡

 王道のバニラ?

 果肉入りのストロベリーも好き♡

 濃厚チョコレートもたまらないのよね♪


 自動販売機を見上げて迷っていると…



 ポンッ



「え…?」


 頭に軽い衝撃

 振り返ると優義ユウギさんが手を乗せている。



優義ユウギさん? 何してるんですか?」


 ?(-ω- U)ヾ(・ω・*)ナデナデ?




「……知らん」



 愛実アミが離れた瞬間

 音が消えた気がして

 近づいても変わらなくて怖くなった…



「知らんって、なんなんですか!もうっ!」



 だけど触れた瞬間、また…


 シャラン•*″*♪。.:*・゜.♪


 なんだよ、これ…

 こいつ…なんなんだ?




 〇.*・。┈┈┈┈┈┈┈。・*.〇




 優義ユウギの部屋に転がり込んで

【3日目:街ブラ in 楽器店】


 優義ユウギさんは音楽バカ、その確認の日々

 なんだろうこの虚しさは…

 そろそろ【_月】を教えてもらわないと

 ひと月なんてあっという間だ。



 ポロン.・*’’*・.♬.・*’’*・.♪



 …始まった

 優義ユウギさんは、楽器を見ると

 触る習性の持ち主だと

 わずか3日にして学んだ。



 あれ? もう止まった

 ピアノを弾き始めたと思ったら

 すぐに手を止めた様子。



 顔を上げ、こちらを振り返り歩いて来る。



「もう帰りますか?」




 〇.*・。┈┈┈┈┈┈┈。・*.〇




 ポロン.・*’’*・.♬.・*’’*・.♪


 ピアノから手を離し、愛実アミを振り返る。


 昨日映画館で聞こえた音が

 あれ以来聞こえない…

 愛実アミに歩み寄り、理由を考える。



「もう帰りますか?」


 二人の距離約1m


 何も聞こえない

 もっと近くないとダメなのか?



 ズイッ


 更に近づいて頭に手を乗せる。



 シャラン.・*’’*・.♬.・


「あ…聞こえた」


「またぁ!帽子は脱ぎませんよ!」



 愛実アミの顔を覗き込むと

 丸い目を更に丸くする。


 こいつ…本当に何者なんだ?



 二人の距離約15cm


「近いですってば……(/ω\*)テレ♡」



「あ、悪ぃ…」






 〇.*・。┈┈┈┈┈┈┈。・*.〇




 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る