安らぎの場所に

ラグランジュ

第1話 ホットコーヒーとノート

 ここはホッとする集いの場所。土曜日の午前中。

少し遅めのモーニング。コーヒーと美味しいパン。

レトロな喫茶店。本日のお客様は?


マスター【いらっしゃませ、お好きな席にどうぞ】


お客様【はい…】


本日の最初のお客様、30代くらいの男性。


 何か嬉しそうな表情で、微笑んでる。見ているこちらが幸せになる雰囲気だ。


 少し時間をおこう。こちらのお客様はじっくりと注文を選ぶ雰囲気だ。当店人気のコーヒーを少し多めに挽いておこう。苦みをあまり強くしないように、少し粗めに。


お客様【注文いいですか?】


マスター【はい、お伺いいたします】


お客様【※※※※※のホットコーヒー、モーニングセットで】


マスター【かしこまりました】


 やはり当店人気のコーヒーをお選びに。お湯は70-80℃くらい。ゆっくりとゆっくりと…


 🍞にバター、ゆで卵とサラダをつけて。サラダにはオリジナルドレッシング。こちらも当店人気のドレッシング。販売もしています。


マスター【お待たせいたしました】


お客様【やっぱり、いい香りですね】


マスター【ありがとうございます。ごゆっくり】


 うん、何かとても幸せなことがあったに違いない。天気も祝福しているようだ。


………………数分後………………


お客様【マスター、お願いがあります】


マスター【はい、何でしょうか?】


お客様【1時間後くらいに来るロングヘアーの女性に、こちらの席を案内してもらえますか?それとこのノートをこの席に置いていってもいいですか?】


マスター【かしこまりました。では、こちらの席はお客様が帰られた後、予約席としておきます】


お客様【無理言ってすみません】


マスター【お気になさらずに、それまでごゆっくりと】


 何かノートに書いているようだ。時々🍞やサラダを食べながら。でも、何か優しい雰囲気が伝わってくる。


………………30分後………………


お客様【ごちそうさま、お会計お願いいたします】


マスター【600円になります】


お客様【マスター、ありがとうございます】


マスター【それはこちらのセリフです。ありがとうございました。予約席としておきますね】


 食器を下げ、テーブルを拭き、ノートと予約席のカードを置いて。


 食器を洗って、サラダの下準備をして………

暫くすると、女性が店内に、


マスター【いらっしゃませ】


女性【………あの、さっき男性がこちらに…】


マスター【はい。こちらの席にご案内するように伺っております】


女性【そうですか…】


 女性は席につくと、暫く天井を見つめていて、

ため息をつき、深く深呼吸を。


女性【マスター、※※※※※のホットコーヒーお願いします】


マスター【かしこまりました】


 コーヒーだけのようだ。モーニングではなく。では80-85℃くらいにしようか。


マスター【お待たせいたしました】


女性【ありがとうございます】


マスター【ごゆっくり】


 女性は少しコーヒーに口をつけたあと、ノートを開き始めた。少しずつ読んでは、コーヒーを。

女性は微笑んで、コーヒーを飲み干して…


女性【マスター、電話貸してもらってもいいですか?】


マスター【奥にありますので、どうぞ】


 携帯もってないのか、珍しいな。事情があるんだろうな。


………………数分後………………


先程の男性が、店内に。


マスター【いらっしゃませ】


男性【すみません、こちらに…】


マスター【先程の席にご案内いたしました】


男性【ありがとうございます】


女性が男性を見ると、嬉しそうな笑顔になり、


女性【ありがとうございます。よろしくお願いします】


男性【こちらこそ、よろしくお願いします】


 何か解らないが、幸せそうだ。見ているこちらも嬉しくなる。


男性【マスター、このノートを私達が帰ったあと読んでください】


マスター【お読みしても宜しいのでしょうか?】


女性【是非、読んでもらいたんです】


マスター【かしこまりました。では、お預かりいたします】


男性【すみません、一週間後にまた来ます】


マスター【かしこまりました。ありがとうございました】


 ノートには何が書かれているのだろうか?見てほしいってことだろうが、本当に見てもいいものだろうか?何故ノートを置いていったのか?


この続きは、また今度に。









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