残されたノート
@aka-tonbo1
第1話 一夫の誕生
いま私が歩んでいる人生の道は、私が生まれた昭和四十八年より昔、
父「一夫」が産まれた昭和十六年から既にはじまっていたのだろう・・・
この物語は、「一夫」の手記により書き起こした物語である
昭和十六年十月六日、第二次世界大戦の真只中、晩秋の青葉も彩る頃、島根県出雲市のある貧しい家庭に一人の子宝「一夫」が誕生した
貧しいながらも生計を立てていたが、
二年後…昭和十八年三月二日、一夫の父親(儀四郎)急性肺炎により他界した
儀四郎には前妻がいたのだか、亡くなった事を聞きつけた前妻が家に押しかけ
子を抱き途方に暮れ果てる一夫の母(秀ノ)に追い打ちを掛けた。
前妻「なんもかんも、おみゃーのせいだけんねっ
ワシはこの何年も苦労をしてきちょーけん、
今度はおみゃーが苦労を背負にゃいけんっ!!
そうに、もともとこの家は儀四郎さんがワシに買ってくれた家だけんっ
おみゃーに此処に住む権利なんかないけんっ出ていっちょくれっ!!!」
前妻は、秀ノに出で行くように毎日毎日押しかけてきた。
その頃の秀ノには、長女(綾子)、長男(輝夫)、次男(一夫)3人の子供がいたが、前妻の嫌がらせに耐えれず、とうとう出ていく事になったのだが・・・
秀ノ(行くあてもない・・・この子たちだけでもなんとかせにゃ・・・
あそこなら、どげなとなぁかもしれん)
秀ノは近くに住む農家の家に訪ね、ことの次第を打ち明けた
「どげにもこげにもいかんで、どげか農具置き場でもいいけん、
貸してもらえんかのぅ・・・」
農家「大変だったのぅ・・農具置き場でええんだら、つかったいつかったい」
農具置き場はトタン張りの小屋で
畳は勿論、窓も無く、井戸もなければ、風呂もトイレもない
風が吹けば揺れ傷んだトタン小屋は「キーィキーィ」と不気味な音を立てていた
後に母(秀ノ)が僅かな資金を握りしめ知り合いの大工さんに頭を下げに行った
そこでも事情を話した
大工「おみゃーさん子供らっち連れて、そりゃー大変だったのぉ
・・」
心よい大工さんは秀ノを不憫に思い無償で
井戸、トイレ、お風呂、電気など、生活最低限に必要な設備を用意をしてくれた。
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