第2話 ドラゴンの炎

 佐田賢介は、予定もなく、アパートでゴロゴロしていた。

昨日、沙織からもらったZIPPOのライターを時折、点けてみるが、ドラゴンのような炎は出なかった

「本当に幸運のZIPPOか?よし!試してやろうじゃないか!」

賢介は、沙織のヘソクリ3万円に手をつけ、財布に仕舞い込み、近所のパチンコ店に向かった。

賢介は、パチンコが好きだったが、いつも負けていて、貧乏に追い討ちをかけるので、ここ一年辞めていた。

 パチンコ店〝ブラボー〟につき、ツイているならと、ギャンブル性の高い台に座る。

 皆に気づかれないよう、一万円札を拝み、投入する

「さあ、ZIPPOよ、力を発揮してくれよ!」と意気込み遊戯を始めた。


2時間後


ブラボーの喫煙所に賢介はいた。

財布の中は、残り千円となっていた。

賢介は、深いため息をつき、「ZIPPOさん、アンタやっぱフェイクかよ‥」そう呟いて、最後のタバコに、ZIPPOで、火を点ける。

すると、ZIPPOから例のドラゴンの炎がでる!

「おお!やっと本気だしたか⁈」と治まってきた

炎でタバコに火をつけて、一服し席へ戻った。


最後の玉が無情にも台に吸い込まれ、賢介は無一文となった。

沙織に怒られるな?と思いつつ、ヤケになり、ZIPPOを席に置いたまま帰ろうとした。

が、やけに、隣の席のオヤジが携帯で慌てた様子で

電話している。

「いや、待ってください!契約きるなんて!すぐいきますから!」と電話を切り、賢介に向かって

「兄さん、1時間ばかり、代わりに打ってくれない?後で手間賃払うから!」そう半ば強引に、

自分の席に、座らせた。

「ちょっと待ってくれよ!」そう言う賢介を尻目に男は行ってしまった。


22時30分


結局、隣のオヤジは帰ってこなかった。

オヤジから預かった時は、一万発であったが、

あれよあれよで、5万発にまでなっていた。 


賢介は、事情を沙織に話した。

「ちゃんと返さないとダメだね!」と言って

その後、一週間、賢介をその台に向かわせたが、

例のオヤジは、現れなかった。

帰る際に、喫煙所に寄ってZIPPOでタバコに火を点けた。




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