ルーシアと人工知能

神楽堂

第1話

緊急事態発生Emergency!総員退避Abandon Ship……」


けたたましく鳴り響く警報音。

宇宙ステーションの乗組員クルーたちは顔を見合わせる。


これといった異常事態は発生していないはず。

この警報はいったい、どういうことなんだ?

私は相棒に問う。


「シスタン、どういうこと?」


「ハイ、ルーシア。コノ宇宙ステーションカラノ、総員退避ノ勧告デス」


「いや、それは警報を聞けば分かるわよ。私が聞きたいのは、いったい何が起きたのかってこと!」


「ルーシア、ソンナニ イライラ シタラ、美容ニ悪イデスヨ」


「あのさ、今はそんなこと言ってる場合じゃないでしょ!」


とは言え、シスタンを作ったのは私だから、今さらシスタンに文句を言っても仕方がない……


ブー ブー ブー ブー ブー ブー ブー 

ブ─────────


警報音が短く7回鳴った後、8回目が長く鳴った。

これは、総員退避準備のための非常呼集の合図だ。


クルー全員に、船外作業用の宇宙服着用命令が出た。

船内の空気がなくなる場合に備えるためだ。


私たちは全員、宇宙服に着替え、各所を点検して回った。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る