七色の魔弾使い

合流！

街を取り込んでいた魔物の大群をカラー侯爵がある程度一掃して、一息付いた時だった。

「カラー騎士団長！魔物の討伐、ある程度完了しました！」

「負傷者はいるか？」

「いいえ、全て軽症です！戦闘には影響しません！」

カラー侯爵はすぐに指示した。

「軽症でも毒などあるかも知れん！軽症はすぐに街に戻り治療させるのだ。残りの者は倒した魔物の魔石の回収だ。お陰様で取り放題だ！みんな特別ボーナスを期待していろよ！」

うおぉぉぉぉぉぉおおおお！！！！！

ダンジョン内の魔物は倒すと特定のアイテムを落とす。しかし、魔物は外で倒すと、基本的に魔石となって消える。魔石は日常生活のエネルギーに使ったり、魔法の触媒などなど使い道が多々ある。

故に魔石は金になるのだ。

騎士団の歓喜の声が上がった時だった。

『それ』が現れたのは。

グルルルッ！！！！！

「グオォォォォォォォオオオオオオ！！！！！！」

巨大な空を飛ぶドラゴンだった。

！？

「散開せよっ！」

ドラゴンはカラー侯爵を狙っているのか、カラー侯爵の目の前に降り立った。

『なんだ？大きさより違和感がある？』

カラー侯爵も不思議な違和感があった。

「とにかく斬り倒せばいい！」

ドラゴンが攻撃する前に、素早い動きで斬り掛かった。ガギンッ！？と、鈍い金属音が響いた。

「なんだと！？」

カラー侯爵の斬撃は鱗に傷を付ける程度であった。

「お前達は手を出すな！離れていろ！！！」

周りの騎士達に避難させると１人でドラゴンと対峙した。

『クククッ、この俺の最高傑作に勝てるかな？』

あのドラゴンもキマイラだった。

通常のレッドドラゴンに、ドラゴンでも最も硬いと言われるアースドラゴンの皮膚を移植した、機動力と防御力を併せ持った強力なドラゴンだった。

「ふぅ、これは楽しめそうだな」

カラー侯爵が不敵に笑うと全身の魔力を高めた。

ドラゴンは意外にも素早い動きで、身体をひねると尻尾で薙ぎ払ってきた。

「おっと、意外と素早いな！」

ジャンプして避けるが、そのまま鋭い爪で攻撃してきた。カラー侯爵はその爪も避けて攻撃を加える。

ギンッギンッと何度も剣撃を浴びせるが、鱗に傷を付ける程度だった。しかし、ドラゴンの周りを走りながら目にも止まらぬ速さで、何十回も斬り込む剣撃の前にドラゴンの全身はダメージこそ無いが、身体を纏う鎧と言う鱗は傷だらけになっていた。

「さてとそろそろキツイ一撃を与えるか…………ムッ！いかん！？」

ドラゴンがブレスの態勢に入った。

ただカラー侯爵の後ろには街があったのだ。

『敵の間取りにうっかりしていた。吐く前に移動しなければ』

カラー侯爵はすぐに横に移動して、背を森の方にしたが、ドラゴンはそのまま街に口を向けていた。

！？

「いかん！ヤツの狙いは初めから街かっ！？」

カラー侯爵がドラゴンに向かうが間に合わない！？

ブレスが放たれた時、ドラゴンの頭に爆発が起こった。

「間に合ったな！」

カラー侯爵はこれ以上ない援軍をみて笑った。

「お待たせしました！このドラゴンは俺達が相手します！」

シオンとその仲間達が戦闘態勢に入るのだった。