父親

それからしばらくして、日が落ちてきた頃にカラー侯爵が帰ってきた。


「「お帰りなさいませ!旦那様!」」


メイドと執事達が出迎え、シオン達も屋敷の入口で出迎えた。


「お帰りなさい父上」

「ああ、久し振りだな。ずいぶんと成長したんじゃない………かっ!」


父クロムは挨拶と同時に腰の剣を抜き放ち、シオンに斬り掛かった!


ガギンッ!!!


「ほぅ?余裕を持って防ぐか………」


クロムから受け止めたシオンに感嘆の声が漏れた。


「仲間のお陰です」


シオンがそう言うと、父クロムはシオンの頭を撫でると抱き締めた。


「会えて嬉しいぞ!学園での話を聞かせてくれ!」


何事もなかったかの様に、雑談しながら家に入っていった。


「あ、あの~~~今の真剣でしたよね?」


マリンがギギギっと横を向いて尋ねた。


「ええ、そうよ?当然でしょう?」

「ただの挨拶だ。気にするな」


えっ?私がおかしいの?ねぇ?私がおかしいの???


マリンは混乱しながら手を引かれて中に入るのだった。


それから夕飯の席では、和やかな雰囲気の中時間が過ぎていった。


『あら?思ったより、まともではないかしら?』


ここまでは普通の家族団欒であった。

食事が終わると男女で別れてお風呂に入り、その後は遊戯をして楽しんだ。

(チェスやトランプで遊んだ)


そして、部屋に戻り布団へダイブしてお休みしました。byマリン



・スヤスヤ~~~



「起きなさい!」


ガバっと、なにごと!?

マリンは飛び起きた。


「うん?ルビーどうしたの?」


眠たい目を擦りながらルビーを見ると完全武装をしていた。


「さっ、早く起きて。戦争に行くわよ」


なん──、なんのこと?と聞きそうになったが、ルビーの真剣な顔に気圧され聞けなかった。


急いで学園の制服に着替えるとルビーに着いて行った。


「こんな夜にどこに行くの?」

「裏庭の先に森があるの。そこでシオンは殺されそうになっているわ。今はアッシュが最上級ポーションを持って先に向かっているから」


!?


「こ、殺されそうになっているって、誰に?」


「さっきまで会っていたでしょう?シオンの父親のクロム侯爵よ」


えっ?どういうことよ!?

マリンはまったく意味がわからずに、頭の中でパニクっていた。


「訳がわからないと思うけど、実際に見てみると分かるわ。マリンの聖女としての回復魔法に期待しているからね」


ルビーの言い方ではシオンは怪我をしていると聞こえるけど…………


ちょっと行き過ぎた行為はあっても、家族仲は良好に見えていたのに、いったいなにがあったのか、マリンはこの後、知ることになるのだった。





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