神様のサウナ ~神様修業がてらサウナ満喫生活始めました~

イタズ

第1話 定年退職

私は島野(しまの)守(まもる)五十九歳男性、独身の会社員。

両親は既に他界しており兄弟もいない、所謂天涯孤独の身というやつ。


だが家族はいる。

愛犬のノンだ、ちょうど三年前に引き取ったオス犬で、私の唯一の家族だ。

犬種はシベリアンハスキー、それなりに大きい。


そして、私についにこの日が訪れた。

待ちに待った念願の日。

そう「定年退職の日」だ。

何年も前から、ずっと待ち望んだ日だ。


ちょうど今日から一ヶ月後に、六十歳の誕生日を迎える私は、一ヶ月分の有給休暇を有しており。

その消化をもって、本日無事「定年退職の日」を迎えたのである。

本日は最終出勤日。

現在の会社には十五年間在籍した。


これまでの私はというと、二十代のころには数回の転職を繰り返し、中にはブラック企業にも勤めていたこともある。

三十歳の時に就職した会社で、店舗開発業を経験した。

それがどうやら私にとっての天職であったようだ。


店舗開発とは、店舗を出店する立地や商圏を見定め、出店に適した土地を探し出し、出店できるように地主と交渉をしてから、賃貸借の契約を行い、店舗をオープンするまでを行う業務である。


そして、四十五歳の時にスカウトされ、現在の会社に在籍している。

自分で言うもの何だが、私は仕事はできる方だと自負している。


これまでも、会社から与えられた予算は毎年達成している。

会社にとっても、自分の給料以上の営業利益を出してきている。

決して足でまといの社員では無いと思う。


ただ、あまり昇進はしたくないのが本音で、部長に昇進を打診されたことはあったが、丁重にお断りさせて頂いた。

その理由は責任を負うことが嫌だったからだ。

私の性格上責任の高い地位に就てしまうと、休日にまで落ち着かなくなることは容易に想像ができた。

給料は各段に上がることは分かっていたが、心の平静を得ることのほうが、私には重要なのだ。


私も若いころは社会的な地位の高さや、知名度の高さ、高収入に憧れた。

だが、年を重ねることによって価値観が変わり、今は自分の好きなことを細く長く行えることに、価値を感じるようになった。

今の自分の生活水準に充分満足だし、これでいいと心から思える。

振り返ってみると、私も随分変わったものだなと思う。


あと、実は三十代半ばから副業として、心理カウンセラーを行っている。

残念ながら日本では、心理カウンセリングはあまり根付いていない。

というよりも、まったくと言っていいほど関心を持たれていない。


本当に止むに止まれずとなってしまってから、心理カウンセリングに興味を覚える人が多く、普段から心理カウンセリングを受けよう、などと考える日本人は少ない。

その為、半年に一回程度しか需要が無いのが現状である。


特に私が得意とするところは、ヒプノセラピー(催眠療法)であり、私はヒプノセラピスト(催眠療法士)だ。

ヒプノセラピーの中には、年齢退行療法であったり、前世療法等いろいろな物がある。

細かい内容については、日を改めてお話しさせて欲しい。

ヒプノセラピーはあまりに多岐にわたるからだ。


既に後任者への引継ぎは完了しており、後は会社から貸与されている携帯電話、パソコン、社有車を返還するのみである。


「島野さん、明日からどう過ごされるご予定で?」

隣の席の同僚が話し掛けきた。


「ん?ああ、ゆっくり休ませてもらうよ」


「いいなー、俺もゆっくりしたいなー」


「ハハハ、数年後には君もそうなるよ」

ゆっくりするとは言ったものの、実は私には計画がある。

そう念願の「サウナ満喫生活」を開始する予定である。


私は独身であったこともあり、幸いそれなりに蓄えはある。

特に返済しなければならないような住宅ローンや、車のローンなどもなく、私の計算では、七十歳から貰える年金などを考慮して、九十歳まで悠々自適に生活ができると確信してる。

但し、今後は大きな買い物は一切おこなわず。それなりに質素倹約を心がける必要はある。


まぁ、元々物欲も対して無く、特にお金のかかる趣味などは持ち合わせてはいない。

食事もほとんどが自炊の為、質素倹約はお手の物だ。

愛犬のノンも高級なドックフードよりも、私の食事の残り品などを好んで食べている、本当に食べては駄目な物なら、賢いノンは食べないだろうと思う。


ちなみにノンの大好物は、味噌汁にご飯をぶっかけた「犬飯」のようだ。

犬飯という表現が正しいかどうかは分からないが、私が勝手に名づけただけだ。

まあノンが上手そうに食べているのだから、よしとしておこう。


さて、貸与品の返還も終わり、あとは就業時間を待つだけだ。

周りを振り返ってみた。

この事務所にもかれこれ十五年間お世話になった。

俺は心の中でお辞儀し、ありがとうございますと感謝を述べた。

そろそろ業務終了の時間を迎えそうだ。


就業を知らせる時報がなりタイムカードを切る、最後に社員証を部長に返却した。

部長に手を差し出され、握手を交わす。

同僚達の拍手に見送られて、会社をあとにした。

本当にお世話になりました。

少し名残おしい気分を残しながら、私は帰宅の徒についた。




帰宅した。

鍵を取り出し、鍵穴に鍵を刺す。

この段階ですでに感じる気配、鍵を回し扉を開けた。

すると、ノンがすごい勢いで飛び掛かってきた、毎度のことながら嬉しいお出迎えだ。


顔をノンに舐められまくる。

私は、負けじとワシャワシャと撫でてやる。

玄関先で戯れる定年の男性と大型犬、まったく持って絵にはならないが、本人たちは楽しんでいるので、見逃して欲しい。


私はノンに話掛けた。

「ノン、いよいよ定年退職になったよ、分かるか?」


「ワン!」

元気よく返事するノン。


「そうかー、分かってくれるかー。明日からは、サウナ満喫生活の始まりだぞ」

鞄を片付け、上着をクローゼットに掛ける。

そのまま台所に向かい、お気に入りのエプロンを着ける。

腕まくりをし調理を始める。


本日の献立は、昨日作っておいた大根の煮つけと、ご飯と野菜炒め。

大根の煮つけは、味が染みてちょうどいい味になっているはず。


そしてノンには、大根の煮つけと犬飯。

大根の煮つけは汁を切って出す。

ちなにみに犬飯は常温のご飯に、常温の味噌汁をかけたもの。

冷やした物や、温めた物も出したことがあるが、常温が好みらしい。


「いただきます」

と一声かけて、晩飯を頂く。

大根にとても味が染みていた、やっぱり一晩置くと味の深さが変わる。

我ながら上手い。

いい出来だった。


晩飯を終えると夜の散歩の時間。

夜の散歩は朝とは違い短めのルート、食後の運動といった要素が強い。

運動不足を解消する為の時間だ。


そして、ノンの便通には大事な時間。

ここでも漏れなくいつもの顔馴染みな人達との、交流の時間がある。

ただ暗いせいか朝ほどの交流は無く、私が犬に戯れられること以外には、挨拶程度で終わる。

早く済んで、とてもありがたい。


夜の散歩を終えると私はすぐに風呂場に向かい、シャワーを浴びる。

冬場の寒い時期以外は、だいたいシャワーで済ませてしまう。

でも月・水・金曜日はスーパー銭湯に行くことにしている。

その後はビール片手にまったりの時間だ。


その時の気分に合わせてサブスクの動画を見たり、読書をしたり、料理の下ごしらえをしたりと、好きに過ごしている。

ノンも甘えたい時は甘えてくるし、テレビが見たい時は、鳴いて知らせてくる。


老夫婦の過ごし方は、こんな感じなんだろうか・・・

結婚経験の無い私にはよく分からないが、同僚が話していた感じとしては、似たようなものらしい。

私はこの時間が大好きである。


何よりも明日からのサウナ満喫生活を考えると、ワクワクが止まらない。

思わずいつもよりもビールのペースが進んでしまっている。

ああ、そろそろノルマが近づいてきた。


私は一日に飲んでいいビールの本数を決めている。

今日はなにかもの足りない。

思わずノルマ越えして、更にビールを一本開けてしまっていた。


明日からのことを改めて考えてみる。

いつも通り朝の散歩は行う、朝は夜とは違いしっかり毎朝一時間近くは歩くようにしている。


明日からの生活が楽しみで仕方がない。

明日は朝食を終えたら、サウナへ向かおうと思う。それも公共交通機関で行く予定。

年甲斐もなく、わくわくしてしまっている。

寝れるかな?

あと一本頂きましょうか・・・




朝起きて感じた感覚は、少しアルコールが体に残っている体感だった。

体の中心に少し重みを感じる。

昨日は調子に乗ってしまったようだ。

私の朝は早い、決まって五時には起床する、というより起こされる。

特にアラームはかけていない、だが五時きっちりになると、ノンに顔を舐められて、起こされてしまう。


分かっている、水と散歩の催促だ。

水は水道水なんて飲ませない、ちゃんとスーパーで買ってくる天然水を、ノンにも飲ませている。

贅沢を覚えさせてしまったかもしれないが、私は気にしない。


そういえばノンはとても賢いように感じる。

人の言葉を理解しているのでは?と思うことが多々ある。

例えばいつものノンの定位置は、私の膝に頭を乗っける場所。

勿論ノンが満足するまで撫でてやる。


そしてもう一つはソファーのど真ん中。

ソファーのど真ん中に位置するのは、テレビを見る為だ。

それも番組に好みがあるようで、バラエティーが好きな様子。

一番嫌いなのは動物もので、チャンネルを変えてくれと言わんかの如く、鳴き出すのだ。

テレビをみる犬ってどうなんだろうか・・・


朝の散歩は一時間くらいかける、というかかかってしまう。

すれ違う犬達が何故か毎回ノンではなく、私に戯れてくるからだ。

それに飽きてしまったノンに、散歩を促される時があるくらいだ。


私達の散歩は時間とルートが決まっている為、いつものお散歩仲間とすれ違う。

決まって毎朝挨拶と簡単な世間話をする。

さすがに身の上話とまではいかないが、犬に戯れられると簡単にスルーとはいかない。


散歩を終えて朝食を作る。

私は朝食は断然ご飯派、本日は野菜多めの豆腐入りの味噌汁と、卵焼きにした。

ノンには悪いが、犬飯は味噌汁が冷めるまで待ってもらう。

温めた味噌汁をお椀によそい、自分用に取り分ける。

更に炊飯ジャーからご飯を取り出し食事の準備をする。


ノンの分のご飯は、犬飯用に取り分けて冷めるのを待つ。

丁度私が朝食を食べ終わったぐらいに、ノンの犬飯が良い温度になっている。

分けて置いていたお米を、冷ました味噌汁に混ぜて食べてもらう。

大体毎朝こんな感じで過ごしている。


着替えを済ませ、歯磨きをしたらお出かけの準備をする。

お出かけの準備といっても網状に作られている買い物袋に、タオルを二枚とコーム櫛。

そして財布を入れる程度。

サウナ帰りに買い物に寄る時は、買い物袋をもう一つといったぐらい。


玄関先でノンに見送られて出発。

ノンよ、そんなに悲しい顔をしないでくれ、帰ってきたらたくさん甘えさせてやるからな。




行きつけのスーパー銭湯『おでんの湯』

最近リニューアルしたばかりだ。


何が変わったかというと、サウナにオートロウリュウ機能が搭載された、熱したサウナストーンに三十分に一度水がかけられて、サウナ室の湿度を一気に上げる、そしてさらに熱波が二分間にわたって吹き荒れることにより、更なる発汗を促す。


そして超冷水風呂も増設された、通常の十六度前後の水風呂とは違い、なんと七度の温度設定。

サウナで火照った体が、一気に引き締まる。

くぅ〜、痺れる!たまらん!


サウナ愛好家にはそれぞれに独自のサウナの入り方がある。

まずはサウナだ、私の場合は何分入るというように、時間を決めて入るということはしない。

私は汗をかき出してから三分以上としている。

理由は簡単で、私のコンディションとサウナのコンデションは、一定では無いからだ。


もう少し詳しく説明すると、その時の客数によってサウナ室の温度は上下する。

本来なら九十度の設定であったとしても、客数が多い時は八十度ぐらいにまで下がっている時がある。


又、逆も然りで、全然客がいないと九十五度にまで上がっている時もある。

温度や湿度によって汗のかき方は違うし、お風呂に入った直後にサウナに入った場合、ものの一分で汗をかき出してしまうこともある。

そのような理由から、汗をかき出してから三分以上としている。


三分以上とはどの程度かって?

それはその時の気分次第だ。

まぁ重要なことは、決して無理をしないということだ。

何度かサウナで倒れてしまったお爺さんを見かけたが、あれは良くない。

無理は禁物である。


水風呂に関しては、完全にその時の気分によって入水時間を変えている。

又、水風呂の温度はその施設によって、温度の違いや水質の違いが大きい。

ただし、どんな水風呂であったとしても、一分以上は浸からない様にしている。

理由は簡単だ、どんな水風呂でも一分以上浸かると、外気浴の時に寒くなりやすいからだ。


ここで一つ注意点がある。

水風呂に入る前には、絶対に掛け湯か、掛け水をしなければならない。

これは絶対的なルール、もしやっていない人を見かけたら、警察に突き出したほうがいいと私は真剣に考えている。

ここだけは譲れない!

私は水風呂警察呼ばわりされても良いとすら考えている。


そして、外気浴へと向かう。

サウナにとって一番大事なのは、この外気浴であると私は考えている。

更に私の外気浴はかなり独自な方法を用いている。

外気浴の一般的な方法としては、ただ椅子に座って休むであったり、横になって休むといった所だと思う、正直それだけでも充分だと言える。


しかし、私の場合は一工夫入れている。

詳しく説明しよう。

まず外気浴は極力横になることを心掛けている。

どうしても椅子しか空いていない時は、椅子に浅く腰掛けるようにする。

できるだけ力の入らない姿勢になるということが重要だ。

体に力みがあっては、上手く整わないからだ。

そして、座ってすぐは、心拍数が上がっている。

目を閉じて、その心拍数が下がっていくことに意識を集中する。

心拍数が落ち着きだしたら、今度は呼吸に意識を向ける。

大きく鼻から息を吸い込み、口から細く長く息を吐く、いわゆる複式呼吸。

ただしこれだけでは終わらない、この複式呼吸にイメージを足していく。

まず、吸い込む空気は、空気中にある綺麗なものを吸い込イメージ、体に良いもの、空気中にある神聖な空気を、体内に吸い込むイメージをする。色は金色。

吐く息は、体の中の悪いものを吐き出すイメージ、体のコリや緊張、血液中に流れる悪いものや、ストレスまで吐き出すイメージ、色は黒。


これを何度も何度も繰り返す。すると体がどんどん軽くなり、深いリラックス状態に入っていく。

サウナトランスをきっかけに、深い自己催眠の状態を、呼吸とイメージによって作り出す。

何度も繰り返すことで、体がどんどん金色のオーラに包まれていくイメージとなる。

これを私は「黄金の整い」と呼んでいる。


そして程なく余韻に浸る。

これが私のサウナルーティーンだ。

あとはサウナから『黄金の整い』までをワンセットとしてそれを何セット行うのかということだが、調子に乗って十セット以上行ったことがあるが、残念ながら脱水症状を引き起こしてしまった為、それ以降は最大で六セットまでとしている。


ちゃんと水分補給は行っていたのだが・・・やりすぎには注意が必要だ。

これが、私のサウナの拘りである。

是非参考にしてみて欲しい。

経験則としては、十セットと六セットでは、体に纏う金色のオーラのイメージは、ほぼ一緒だった。




定年退職からちょうど一ヶ月後。遂に六十歳になってしまった。

これまでの一ヶ月間はというと、初めの一週間は行きつけのスーパー銭湯『おでんの湯』に通った。

良い整いであったと言っておこう。


ただし、少しだけいつも通りでは無かったことは話しておこう。

私なりに工夫はした、どんな工夫をしたかというと、やはり求めたのはアルコールだ。

仕事を持つ身では、平日の朝からアルコールを飲むのは憚られる。

私はまずサウナ後の一杯を求めたのだ、そう至福の一杯を。


これまでは愛車の軽ワゴン車にて、スーパー銭湯に向かっていたのを、あえて公共交通機関を使っての来店。

当然のごとくいつものルーティーンでサウナを満喫した、そして訪れた至福の一杯の時間。

サウナ後の生ビール!

上手い!

途轍もなく上手い!


そして、知ってしまった。

というよりも再認識してしまった。

「上手いのは初めの一口だけ!」

二杯目からはいつもの生ビール・・・

分かってはいたが突きつけられた現実に、私は思わず膝から崩れ落ちそうになった。

それに懲りずに、その翌日にも同じことをしてしまったことを、あえて話しておこう。

懲りない性分なんです私。


改めて言おう「生ビールは一口目が全てであると!」


そして、その後はどうしたのかというと、サウナ仲間から勧められた施設を中心にサウナ旅を行った。

初めてのことであったが、サウナ旅も良いもんだなと感じた。

カプセルホテルが併設している施設にも、積極的に行ってみたし。

全国的に名の売れたサウナ施設にも行ってみた。

各々の施設によって、いろいろな工夫がされており、中にはそこでしかないという物もあって、非常に満足できた。


さらに、ここ最近話題になってきている、サウナ飯も積極的に食するようにした。

ただ、サウナ飯は辛い物が多い。

個人的な趣向としては、体を綺麗にした後に、汗をかくのはちょっと苦手だ。

この点だけは、少し複雑な気分だった。

まぁ美味しかったから良いのだが・・・


実は、私はサウナ仲間が結構多い。

その仲間達は、行きつけのスーパー銭湯『おでんの湯』の常連である。

彼らからもたらされるサウナ情報は極めて質が高い。

やれここのサウナは湿度が良いとか、ここのサウナは水風呂に拘っているとか、これまでにいろいろな情報を蓄えていたのだ。

その中から興味を引いた施設を中心に、何件ものサウナに行ってみた。

結論を言うとすごく良かった!

さすがサウナフレンズ!

ありがとうサウナフレンズ!

良いサウナ旅ができました!


サウナフレンズの本当の名前は知らないが、私が勝手に仇名を付けている飯伏君。

君の情報が一番極上でした。

君の教えてくれた『キャッスルリゾート』の泳げる水風呂の解放感は凄かった。

年甲斐も無く本気で泳いでしまった。

更に強炭酸水風呂の感触は、今まで味わったことの無い感触だった。

ゴールデンボウル袋がヒリヒリしたのはご愛敬だが。

サウナフレンズの皆様、貴重な情報をありがとう!

たくさん楽しめました!

サウナ旅最高!




そろそろサウナ旅も一段落し、私はいつもの行きつけのスーパー銭湯『おでんの湯』にて、いつも通りのサウナルーティーン。

やはり、行きつけのお店は落ち着くなといった印象を受ける。

周りを見回してみたが、だいたいこの時間ならいるサウナフレンズは珍しく誰もいなかった。


サウナ室内にて少し考える、今日は電動マッサージ機を行うべきか否か・・・

まぁ終わった時の気分で決めよう・・・

それにしても、サウナ旅は楽しかった・・・

ただ、思いのほか出費が掛かったから、頻繁に行くのは考えものだな・・・

結局は行きつけのお店に落ち着くものなんだろうな・・・

気持ちよく汗をかいているな・・・

なんて気ままに過ごしていたのだが。


それは急に訪れた。


確か三セット目の外気浴にて、その現象は起こった。

いつも通りの『黄金の整い』の最中の出来事、余韻に浸っていたが、何かいつもと違う気配を感じた。

いつもであれば、宙に浮かんだフワフワした感覚の中で、深い整いの状態を感じているところなのだが、いつもと雰囲気が明らかに違う。


なんだ?この感覚は・・・

まず、おかしいのは足の裏に感じる感覚、そして空気感。

明らかにおかしい。


そして何よりもこの気配。

見てはならない誰かが私の前に鎮座している。

加えて感じる威喝感。


とりあえず一呼吸おいてみよう・・・

私の目の前に直視できない誰かがいる・・・

無理やり観る?

いや、止めておこう。

とにかく冷静になろう・・・


「うん、そうしたほうがいいじゃろう・・・」

見知らぬ誰かが呟いた。


え?誰?何か聞こえた?

わずかな沈黙


「聞こえなかったか?」

聞こえます。てっか誰?


「あ~、儂か?」

はい、儂です。


「わしは創造神じゃ」


えーっと、いま何と?


「創造神じゃ」


はぁー、創造神様ねぇー、サウナトランスって幻覚を見るものだったっけ?

にしても創造神様ってどういうことだよ?

いよいよ私もぼけたのか?


「おい、これは幻覚でもなければ、お主がぼけたわけでもないぞ」

そうかそうか、ん?

思わず目を開けてしまった。

目の前に広がるのは真っ白な空間、そして私の向かいに座っている誰か。

凝視してみても輪郭がはっきりしない。

う~ん、ぼやけるなー。


「あぁ、じきにはっきり見えるようになるじゃろうて」

そうですか、分かりました、それで創造神様でしたっけ?一体ここはどこなのでしょうか?


「でしたっけではない、何度も言うがわしは創造神じゃ、そしてここは神界じゃ」


神界・・・真っ白な空間・・・広さはよくわからない・・・どこまでも続く広さに感じるが、すぐそこが行き止まりな感じもする。不思議な空間だ。


まぁ、私のような凡人にはよく分かりませんが・・・

ん?まてよ、私は誘拐された?

この創造神によって、この神界とやらに拉致された、それも裸のままで。恥ずかしいじゃないか!


「落ち着け、いいから落ち着くんじゃ。儂はそなたを拉致したわけではない、ちゃんと用事が済んだら元の世界に返してやるから安心せい」

あ~良かった、帰れるんだ。


「おかしな奴じゃのう」

おかしな奴じゃのう?

いやいやいや、常識的な反応だと思いますけど?

創造神のくせにそんなことも分からないの?

ってか本当に創造神なの?

これってCGだったり、プロジェクションマッピングだかを駆使した、新手の何とか商法とかだったりして。


「まだ疑うか?いいかげん気づけ。お主が心で思っておることに、わざわざ言葉で返しておるじゃろうが。儂にとって読心術などお手のもんなのじゃ、分かるか?」

あっ!本当だ!

・・・

これはもはや疑いようがないようだ、それに視界がだいぶクリアになってきていた。

創造神を名乗る目の前の存在が、とてつもないオーラを放っているのが分かる。紛れもない事実・・・ってか神様来ちゃったよ!。

何故?


「あの、落ち着きたいので少しお時間をください」


「ん~、どうぞ」

いいか?守、冷静になれ。

そうだ呼吸に意識を向けよう、まずは目を閉じて、呼吸に意識を集中する、大きく鼻から息を吸って、細く長く口から息を吐く。


これを何度も行おう。大きく息を吸って、細く長く息を吐く。

そしてどんどん頭がクリアになっていくイメージを加えていこう。

何度も何度もおこなおう。

どんどんクリアに、どんどん集中力が増し、冷静な自分をイメージしよう。


「素晴らしい創造力じゃな、お主本当に人間か?逆に儂がお主を疑ってしまうぞ」

目を開けた。


創造神様の輪郭がかなりはっきり見えている。

だいぶ冷静になったようだ。

そしてこれまでの一連のやり取りから、間違いなく現実であることを肌で理解した。

私も座らせて貰う事にした。


「ありがとうございます、落ち着きました。私は紛れもなく人間です、それで創造神様、お尋ねしてもよろしいでしょうか?」


「おお、悪かった、悪かった。みなまで言うな、ちゃんと説明してやる。お主の反応が面白くて、ちょっと悪乗りしてみただけじゃ」


「そうですか・・・」

悪乗りって・・・


「早速じゃがの」


一呼吸おいてからとんでも無いことを創造神様が口にした。


「お主、神にならないか?」


ん?ん?んんん?


「とは言っても今のすぐではないぞ、神になるにはそれに応じた力を得なければならん。だから修業を行う必要があるのじゃ。実は今、少々神が足りてなくてな、忙しくなりすぎて、儂も大変なんじゃ。そこで創造力が高く、神気を存分に蓄えたお主なら、神になる見込みがあると思っての、スカウトにし来たんじゃ。」


「なるほど・・・神気?」


「お主さきほど落ち着くために、呼吸を整えてからイメージをして、冷静になったじゃろ?これも実はある意味での神気なのじゃ、正確にはちょっと違うがのう。お主が最近特に頻繁に行っておる、なんじゃ、あの、そうそう『黄金の整い』とかいうあれじゃ。お主があれを長年に渡って、頻繁に行ったことで、お主は膨大な神気をその身に蓄えておる。ちなみにお主の神力じゃがな、そこら辺におる上級神よりも強力になっておるぞ。下級神なんかでは太刀打ちできんぐらいじゃ」


「はぁ、そうですか」


「だからな、そんな有望株をこのまま人間として、生涯を終わらせるわけにはいかんと思って。誘いに来たんじゃ」


「私が神様にですか」


「そうじゃ」


「あの、少々ご教授いただきたいのですが」


「ああ構わんぞ、硬っ苦しい敬語もいらん、申してみよ」


「あ、はい、質問ですが、神様になるメリットって何ですか?」

メリットぐらいは知っておきたい。


「メリット!う~ん。なんだろうなー。あっ!多少意味合いが違うが、死なない存在になる、後は好きに暮らせる。それから功績が認められたら、崇められる。他は、んん~、まぁ、いろいろじゃ」

ざっくりしてるなー。


「なるほど、で修業とは具体的にはどんなことをするのですか?」


「あー、それは、主に能力の向上と開発じゃな」


「能力とは?」


「んん~、表現に困るのだが、言うなれば神として必要な力じゃな」


「神に必要な力ですか、まったくわかりません、もう少し具体的にお願いします」


「あー、いろいろありすぎて表現できん、というより、お主は人並み外れた想像力をもっておるではないか、自分で想像して考えてみてくれ」

おいおい私の想像に任せるってどういうことだよ。


「丸投げですか?」


「だって表現するの難しいんじゃもん」

だめだ、この創造神様は適当過ぎる。まったく当てにならない


「あっ!そうじゃ例えば、物を分離できたり、くっ付けたり、転移させたり、とか」

なんでどや顔をしているのかな?


「どうじゃ!」

どや顔するほどじゃあないんですけど・・・


「まあ、便利そうではありますね」


「じゃろう!」


「いやいや、まだまだどや顔できるほど伝わってませんよ・・・まあ分かりました。どうするか考えてみます」

ほとんどこっち任せだな。


「そうかそうか、よしよし、って考えてみる?神になることをか?」

そりゃそうでしょ、ざっくりし過ぎですもん。


「はい」


「え~、なんでかな?普通即決するでしょうよー」


「いや、こういうのは即決は駄目です。よく考えてみないと、だってあと三十年はサウナ満喫生活を送る予定でしたから」

これからのサウナ満喫生活以上に大事なものなんて、私にはないのですよ。


「神になることと天秤にかけてみようと・・・」


「そうです、まぁ他にもいろいろありますが」

ちゃんといろいろと考えてみないと駄目でしょうが。即決なんてありえませんよ。


「そんなにサウナ満喫生活を送りたいのか?」


「はい、ものすごく捨てがたいです」

そりゃあ簡単には捨てられませんよ。ずっと、夢見てきたんだから。


「だったら修行場で、そのサウナとかいう物を造ったらよいではないか」

造る?サウナを?それは・・・興味深い・・・というかいいかも・・・マイサウナ・・・ある意味私の夢じゃないか。


「な!なんと造れるのですか?」

マイサウナ!悪くない、だが、即決は禁物。


「お主、神を相当低く見積っておらんか?」


「ええ、説明がざっくりし過ぎでしたので」

全然説明されてないんだから、そりゃそうでしょ。


「あのな、お主が目指す神は、そこいらの神ではなく、創造神なんじゃぞ、いうなれば儂の後任なの、分かるか?」

は?なにそれ?


「分かるも何も、今聞きましたが・・・」


「あっそうか、すまんすまん」

この想像神様、マイペース過ぎやしないか?大丈夫か?


「あと、修業ってのはどこで行うんですか?」


「それは、地球ではない世界でじゃ」

異世界ってことかな?


「まぁよい考えてみてくれ、返事はできるだけ早めにじゃぞ、なるはやじゃな」


「創造神様、爺いみたいな話し方に、若者ことばを混ぜるのは、混ぜるな危険ですよ」

一瞬間ができた、なんだか妙なシンパシーを感じてしまった。


「あっやっぱ駄目?」


「駄目です、じゃあ少し考えさせてください。返事はどうすればいいですか?」


「そうじゃな、普通に呼びかけてくれれば迎えにいくから、呼びかけてくれればよいぞ」

そうなんだ、結構便利だな。

そっか、読唇術はお手のものって言ってたからな。なにかしらそういった能力があるってことなんだろう。


「分かりました」


「ん、ではまたな」

創造神様が薄っすらと色あせていった。




突然体を揺すられた。

「お客さん、寝ないでください。起きてください」


「ほら熟睡しないでって、ここに書いてあるでしょう、寝ることは禁止って」

顔なじみの店員さんに起こされた。


「お客さんが寝入っちゃうなんて珍しいですね」


「ああ、ごめん」

夢だったのかな?


身体を洗って家路についた。

家に帰り、ひとまずビールを開けて一気に流し込んだ。

フウー。ゲップが出そうになる。


ソファーに腰掛けると、ノンが顔を膝に乗っけてきた。

ノンの身体を撒でながらさっきの出来事を考えてみる。

今回の件を整理する必要がある。

恐らくあれは夢ではない。

というか絶対に夢ではない。

なぜかというと、車のワイパーに「夢ではないぞ By創造神」と書いた紙が挟まれていたからだ。

創造神様って本当に忙しいのか?

てか、何やってんの?あの爺さん。


洒落の好きな神様ってことですかね。まあそんなことはいいとして。

おそらくこれはあれだ、最近流行りの異世界転生とか異世界転移ってやつだろう。

本当にあるのかは分からないが、人間が思いつくこの世の世界は、全て存在するなんて、ある学者さんが言ってたような気がする。

まああると考えた方がいいってことなんでしょうね、今回は・・・


整理しよう。

まず修業の場所は、創造神様が言うにはこの地球ではないとのこと。

地球とは違うどこかの異世界。

言語も文化も違うだろうし、下手すれば人間以外の種族がいるかもしれない。

そういったところは心しておこう。

ただ今は何もできないが・・・いろいろ想定だけはしておいていいかもしれない。

地球以外となると、ノンと別れることとなる、これはよろしく無い。

というかありえない。

同行できるようにお願いしてみよう。

もし、それが叶わないようならこの話は無しだ。


そしてサウナ満喫生活だが、創造神様が言うには、サウナを造ればいいとのことだった。

正直言って、サウナ造りはやってみたいという想いが強い。

というか自分のサウナを持つことは夢でもある。

どういったサウナを造ろうか?

いやいや、決断にはまだ早いでしょうが。


あと心残りなのは、長年コツコツ貯めてきた貯金だ。

何とかならないものだろうか?

あとこの家も手放すのは両親に悪い気がする。両親が頑張って建てた家だもんな。

それにしても神様になる修業って何なんだろうか?まったく想像がつかない。


というより、説明がざっくり過ぎてまったく理解できていない。

聞きたいことが山ほどあるんだけどな。

まぁ正直言って、今はサウナ満喫生活以外では、特にやることがなくて、時間を持て余していることは事実だからな。

どうしたものか。

ちょっとワクワクしている自分がいる。




翌日

「創造神様、迎えに来てください!もしも~し」

一瞬にして視界が変わった。

またあの白い世界、神界だ。

今回は初めから視界が開けている、目の前の創造神様をはっきり捉えることができている。


「おお、お主か、呼んだか?」


「はい、呼びました」


「そうか、でどうするのじゃ?」

いきなりかよ。もうちょっといろんなやり取りがあっても・・・まぁいいか。


「あのー、いくつか相談したいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」


「相談とはなんぞや?」


「はい、まずは愛犬のノンを同行させたいのですが、如何でしょうか?」

これの回答次第ではこの話はお終いだな。


「愛犬とな、ちょっと待っておれよ。ふむふむ、おお、この子じゃな。よかろう、ただ、お主が行く世界はこの犬種がいないのでな、今とは少し姿が変わってしまうがよいか?とはいってもの、魂はこの子のままなので安心してくれ」

魂はそのまんまってことは、ノンに変わりは無いってことか、じゃあいいか。


「そうですか・・・わかりましたノンがノンであるなら問題ありません。あと、これはあくまで要望なのですが、六十歳になったばかりの、老人のまま修業というのもどうかと思いまして、若返えらせていただくことはできないでしょうか?あくまで要望なんですが・・・」

これは単に私の要望です。


「それは大丈夫じゃ、というか初心者パックみたいなもので、既にそのように手配しておる」

ん?何それ?


「初心者パック?」


「まぁ、初心者が安心して修業に打ち込めるようにするための、安心パックといったところじゃの、詳しくは後ほど自分で確かめてくれ」

スマホゲームの初心者が課金して行うあれみたいなものかな?まぁいいや、どうせ深く考えても分かるはずがない。


「これはご相談というか教えていただきたい部分なんですが、私が修業を始めた後の、この地球での私の扱いはどうなるのでしょうか?死んでしまって、同時に私の痕跡は全て無くなるといった感じになるのでしょうか?」


「そうしたいのであれば、そうしても構わんが、どうしたいのじゃ?」

出来れば両親が大切にしていた家は残したいし、コツコツ貯めたお金もどうにかしたいんだよな。


「正直に申しまして心残りがあります。私の財産が一切なくなるのはもったいないなと・・・何かしら転用したりとかできませんかね」

創造神様は腕を組んで考えているご様子。


「あ~、そういうことか、安定的に食べていける保証が欲しいということじゃな?」


「それもありますし、例えば、親から引き継いだ家とか消えてなくなってしまうのも、どうかと思いまして」


「そうか、お主なりにこれまで頑張って蓄えた財産を、無下にはしたくないし。せっかく受け継いだものを無くすのもなということか、まぁ分からなくは無いが、う~ん」

考え込んだのちに、創造神様が両手を叩いた。


「提案なんじゃが、まず食うには困りたくないという点に関しては、お主のお金を使えるようにしてやろう、細かいことは悪いが自分で学んで欲しい。あと地球でのその後の扱いじゃが、お主次第だが、この世界に戻ることも将来的に可能になるかもしれんが、どうしたいんじゃ?」


「えっ!戻ってくることも可能なんですか?」

そんなんあり?


「そうじゃ、可能性は無限大じゃからな、どうしたいかは全てお主次第じゃ、神を目指すということはそういうことなんじゃ」

何でもありってことなのか?


「少々お時間をいだだけますか?」

将来的にこの世界に帰ってくることも可能?

であれば家なんかは残すに決まってる、でも維持費はかかるのか?

久しぶりに帰ってきて、電気も水道も止まってるのはどうなのか?

これはもう一度考える時間をもらったほうがいいのでは?

いや、それは違うような気もする。

どうしたものか・・・


「お主、神になるということを、今は全く理解できていないからしょうがないのじゃが、そんな些細なことはお主次第でどうとでもなるもんなんじゃぞ」


「どうとでもなる?」


「そうじゃ」


「どうとでもなる・・・では、せっかくですので残す方向でお願いします」

父さん、母さん、まだまだ私達の家は健在です。


「あい分かった、他にはいいか?なにかあるか?」


「はい、少々想定外があり混乱しましたが、相談したいことは以上ですが、確認したいことがもう一つ、神様の能力の向上と開発を行うとのことでしたが、能力などはどうやって確かめたら良いのでしょうか?」

これは聞いておかなければいけない点。


「それは簡単なことじゃ、いつでも自分の状態やらは、確認できるようになっておるからの」


「それはどうやって?」


「確認したいと思ったら確認できる」

確認したいと思ったら出来る?


「はぁ、よくわかりませんが・・・出来るのであれば、大丈夫です。分かりました」

ざっくりなのはもうよく分かっているので、細かく聞くもの野暮な感じがする。


「では始めてよいか?」

ちょっと、もう行くの?


「もう行くのですか?まだ聞きたいことがたくさんあるんですけど」

心の準備もまだですが?


「まだあるのか?まぁよい、ちょいちょい顔を出してやるから、その時に聞いてくれんか?」

嘘でしょー、すっげぇ雑じゃん。

まぁ、どうとでもなるってことらしいから、どうにかなるのか・・・な?


「少し呼吸を整えさせてください」


「あい分かった」

呼吸に意識を集中しよう、鼻から大きく吸って、口から細く長く吐く、鼻から大きく吸って、口から細く長く吐く、心は決まった、さぁいざ神様修業の始まりだ!


「あっそうだ!言うのを忘れておった」

ん?


「スタート地点は無人島じゃぞ、では達者でのー」


無人島?なにそれ!始まりの町とかじゃないの~!!

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