第3話 ひとみと破局

 ひとみに浮気の証拠を見せつける。


「おまえ、谷彦と浮気していたみたいだな」


 証拠の映像を見せつけられても、堂々した振る舞いをしている。


「あんたに魅力を感じないから、他の男とも交際することにしたの。しっかりとしたものを持っていたら、こんなことにはならなかったわ。悪いのは私ではなく、あんたの方だからね」


 浮気をしたくせに、他人に責任転嫁する女。どうしようもない輩であることを、改めて認識する。


「お前とはもういられない。すぐに別れろ」


 ひとみはすぐに反応する。


「わかったわ。レベルの低い男と破局できて、とっても清々しい気分だわ」


 ひどいいわれようだけど、破局につなげられたのは大きなプラス。話をこじれさせないためにも、素直に応じておこう。


 ひとみのすぐ近くに、近藤谷彦がやってきた。


「ひとみ、あの男と何を話していたんだ」


「これといったことは話していないよ。谷彦、どこかにいきましょう」 


 谷彦、ひとみは手をつなぐ。巧はその様子を、静かに見ていた。


 黒みがかっていた空は、青さを取り戻す。巧の心と重なっているかのようだった。

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