第六天魔王〜信長転生記

チワワ大将軍

第1章 戦国-1

 俺の名前は織田信之。

 愛知県の小都市で生まれ、平々凡々の少年時代を送り、地元の高校を卒業。

地元のFランク大学の理工学部を卒業し、名古屋の小さな商社に就職。ややブラック気味の職場で、お疲れ気味の日々を送っている平々凡々な30歳である。

 自分ではそう思わないが、顔は肖像画の織田信長に少し似ていると言われている。なんでもご先祖様はあの織田信長の一族の血筋らしい。

で、あだ名は小さい頃からノブナガ。

 実家は名古屋郊外の小さな建売り住宅。弟が1人いる。親父も地元市役所に勤める地方公務員。御先祖様はともかく、今の俺は立派な大平民である。ちなみに、親戚も皆大平民である。


 その日も残業を終えた俺は、いつものコンビニで缶ビールとおにぎりと酒の肴を買って、いつもの曲がり角を曲がって、我が居城、築20年のユニットバス付きワンルームに向かっていた。

 嫁はおろか、彼女もここ数年はいない。誰が待っている訳でもないのであるが、帰宅してシャワーを浴びた後の1人晩酌は至福の時間である。しかも明日と明後日は久々の連休。なんの予定もないが、心も弾もうというものである。

 ビールのことを考え、にまにましながら、家まであと数分のところまで来た時、突然、ドーンと、下から蹴り上げられたような衝撃がくる。身体が浮く。横の衝撃も来る。

北朝鮮のミサイル?いや、地震だ。

電信柱がゆさゆさと揺れ、俺は尻餅をついた。

道のアスファルトに亀裂が入り、横のブロック塀が俺の頭の上に倒れ込んでくる。逃げようとしたが、揺れが酷く立ち上がれない。間に合わないと思う間もなく、塀が崩れ落ち、酷い衝撃と痛みを感じた瞬間、俺の意識はブラックアウトしたのだった。

 




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る