『物的証拠が無い』絶望的な状況下での刑事たちの執念を感じるアプローチ。

凄惨な殺人事件の現場。
バラバラに切断された遺体、しかし犯人の痕跡が見当たらない。
雲を掴むような不確かな犯人の影へ、刑事たちが様々な方向から捜査の光を当て続け、少しずつ、着実に追い詰めていく様は、読んでいて圧巻でした。

探偵小説のようなある意味冷徹な理詰めの追い込みではない、刑事たちの執念を感じる多角的なアプローチから繰り出される強固なチームワークが犯人を追い詰めていきます。

逃げる犯人、追う刑事。
事件発生から、二転三転と、物語が転がっていく様が面白かったです。
あっという間に読み終わりました。丁寧な言葉選びによる世界観の奥行きが与えてくれる没入感とある種の達成感。読み応えは抜群です。

作者さんの本格ミステリ、美味しかったです。
ごちそうさまでした。