第27話 草原で寝転がる

「いやー疲れたねえ」


私はボスのいなくなったこの場所でそう呟いた。寝転がりながらな。

 気を抜くなと言われるかもしれないが、そうしたくなった。

 なぜなら、ここに草が生い茂っているからだ。一度は寝そべってみたいと思っていたのだ。寝そべってみたらどのような感じなのだろうと。

 予想通りであった。

 少しだけチクチクするけれど、そんなに嫌だという思いにはならない。

 ここにもふもふがいればもっといいのにな、とそんなことを考えていた。


「ヴォルフー」


私はヴォルフに抱きついた。

 休憩しているところだったのに申し訳ないなとは思った。だが、もふもふしたかった。

 その気持ちに抗えなかった。


「ったく、セリは本当に……」


呆れているような声がした。

 ヴォルフのもふもふの毛の質は変わらなくて、とても触り心地がいい。

 呆れられたとしても、触るのをやめたくはないのだ。


「ライオスもライオンになってくれたりは……」


チラッと視線を送ってみる。

 すると、苦笑された。


「ダンジョン攻略をしている時はこちらの姿の方が都合が良いのだ。だから、すまないな」


 ライオスにそう返された。

 

「そっかあ。それなら仕方ないね」


そういうことならば仕方がない。

 それに、ヴォルフの毛を堪能することができるだけでも十分だ。

 そういえば……と思いニコを見る。


「どうなさいましたか?」

「いや、ニコは獣の姿になれるのかなって」

「なれるはなれますが……ここでは嫌ですわ」


恥ずかしそうに頬を赤く染めている。

 なれるはなれるのか。けれど、ここではなりたくない。

 ライオスがいるからだろうか。

 自分がネコの姿になったところを見られるのが少し恥ずかしいということかな。

 もしかしたら獣の姿になったら服が全部なくなってしまうのかも。

 それなら強要するわけにはいかないよね。


「そうか〜いつか撫でてみたいなあ」

「セリナ様だけにでしたら、いつか触らせてあげますわ」

「本当⁈やったー!」


ネコも撫でてみたい。

 前は結構触っていたのだけれどね。

 こちらの世界ではまだ触ってないし。

 それに、ニコの髪の毛を見ると思う。

 きっと毛並みは艶のある綺麗な白だろう、と。白猫も好きだから触りたい。

 撫でまわしたい。だが、撫ですぎるとせっかくの白い毛が抜けてしまうか。それは避けたいところだな。

 まあ、姿を見せてくれるだけでも嬉しい。

 いつかがいつになるかは分からない。


 でも、そのいつかが無事に来ることを願いまだ進もう。

 私達のダンジョン攻略はまだ終わらない。

 どこまで続いているのかも分からない。

 何体のボスが出てくるのだろうか。それさえも私達は知らない。

 だが、前に進むしかないんだ。


 だって、もう戻れないのだから——

 

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