詩の紙束

帳 華乃

燃える

夏の間誰にも触れられず湿気てしまった線香花火に火を灯せる魔法を使えたらよかったのに。薄れ美化される記憶のなかで一生瞬き続けたら不死になるよりずっと嬉しいはずなのに、空想は空想のままで花火はゴミになったままだ。燃えるゴミの日に燃え尽きて一瞬で掻き消えた最後の火花。

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