若き騎士達の危険な日常

あーす

第1話 入学式、その前。


 シェイルは類い希なる美少年だった。

胸元までカールした、長く艶やかな銀髪。

大きなエメラルド色の瞳。

細く形の良い鼻。

そして…ふっくらとしたピンクの唇。


姿こそはとても美しかった。

が、彼を特別な美少年にしたのは、彼独特の、妖精のような人間離れした雰囲気。


そこに居ても、現実味の薄い。

まるで儚い、夢のような美少年…。


彼は直、14になる。

そして…義兄、ローフィスがそうだったように、シェイルも王立騎士養成学校『教練』に、入学する…。


ローフィスの父であり、シェイルにとっては義父のディラフィスは、シェイルが王立騎士養成学校に入学する事を、とても心配してた。


けどローフィスは、父に

「自分が鍛えるから」

と…シェイルの意思を尊重し、入学して困らないよう、訓練を買って出てくれた。


シェイルはローフィスに、剣の使い方や乗馬を習いながらも、ローフィスが言いたくても言い出せない言葉を感じ取っていた。


めろ。

俺が入るからって…お前が続くことは無い”


シェイルだって、王立騎士養成学校の噂は聞いていた。


この養成学校を卒業した者は、ほぼ近衛に上がる。

近衛は王の軍隊。


確かに身分重視だけど、もっと重視されるのは実力。

とてつもなく強ければ、どれだけ低い身分だろうと、大出世が望める。


…だから腕に覚えのある、身分の低い男は皆、王立騎士養成学校に入り、近衛を目指し、軍歴を上げて出世を夢見る………。


そんな理由で…王立騎士養成学校は、荒っぽい男ばかり。

秩序なんて、あって無いようなもの。


更に年頃の男ばかりだから…。

性欲を果たすために、小姓の美少年を連れて入ったり。


華奢な少年らは年長の男の餌食…。

大抵乱暴に犯されるのを、覚悟しなきゃならない。


義兄ローフィスは二つ年上。

ずっと一緒に過ごしたのに、もう二年も別々に暮らしてる。


シェイルはそんな危険より…大好きなローフィスと離れている事が耐えられなかった。


去年は…ローフィスに懐いてる王族のディングレーが、ローフィスが入学して去った後、剣の練習相手をしてくれていた。

でもディングレーも、シェイルよりは一つ年上。


去年の入学式には王立騎士養成学校へと入り…シェイルの元から、去って行った。


「悪いことは言わない。

来ない方がいい」


そう言い残して。


でもディングレーが去って一年…。

必死で剣を振り、短剣を習得しながら…。


シェイルは寂しさに耐えられなかった。


休暇で帰って来るローフィスに抱きついて…『教練』に戻らないでと泣いて頼んでも無駄。


だから…シェイルには、選択肢が無かった。

ローフィスの側に居るためには。


そして…。

ついに入学式の日が、やって来た……………。


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