恋人をNTRれたTS魔法少女、悪の組織に寝返る

ちーずけーき

第1話 TS魔法少女、裏切る



「あっ、ん♪そこだめぇ♪」



「なにがだめなんだよ。愛たん、俺の――をしっかり受け止めろよぉ!」



俺は何を聞いているんだ...?

扉越しからは俺の彼女、愛の声が聞こえる

そして知らない男性の声も

ギシギシと防音性のない部屋だろうからか性行為の音が聞こえる

頭が真っ白になった

俺、彼女NTRれたんだな...

改めて実感し現実逃避のため自己紹介をする

俺は六七海 死路

前世おっさんの闇属性の魔法少女だ

俺の彼女、愛を知らない男にNTRれた事によって俺、正義の魔法少女辞めようと思う

長い金髪を大きめ帽子の中に隠しマスクを装着し身バレしないようにする

俺はスマホを見ながら目的の場所へ向かった

向かっている先は悪の組織、ダークネス

そこに俺は寝返ろうと思っている

案の定組織ダークネスの入り口には俺が予め送っておいたメールが届いていたのか幹部の男が立っていた

スーツと仮面を着こなし殆ど普通の成人男性のように見えるが長い耳が怪人だということを表している

流石の幹部第二席、圧が凄い

だがたかが魔法少女一人に第二席をわざわざ送るか?

組織の思惑が読めねぇ



「こんにちは、第二席ランスさん」



「ごきげんよう、死路殿。この度は何のようですかな?」



男――ランスは飄々と親しげに会話してくる

だからこの男の掴みどころのない性格は嫌いなんだ



「率直に言います。そちらダークネスに俺、六七海 死路は寝返りに来たんです」



「んー?」



「え?」



何故かランスが驚く

そしてその反応に俺も驚いてしまった

いまカメラを持っていたら間違いなく写真を取っていただろうな

ランスの驚いた顔なんてレアだぜ

何度か戦ったがほぼコイツ作り笑いしかしてなかったからな



「取り乱してしまいました。すみません」



「いえいえ、急な用件を言ってしまったのは俺の方なので」



「ですが、死路殿。此方側に寝返るというのはどういうことですな?」



ランスが此方の思考を射抜くように見つめてくる

うわ、男に見つめられても嬉しくねぇよ

だがふざけている場合ではないな

俺の復讐の為にはダークネスに寝返るのが一番手っ取り早いし



「実は俺...見知らぬ男に愛をNTRれて復讐するためです......」



「うん?」



頭に?マークを浮かべるランス

そこまでおかしいこと言ったか?



「だから!彼女NTRれ復讐するため来たんです!!」



「え、そうなの?」



「そうです!!」



「(許せない...あの魅力たっぷりの愛し死路ちゃんの何処が気に食わないんだ...その"愛"ってヤツ殺そうかな......そして死路ちゃんを監禁して僕から離れられないように縛り付ければ...だめだ僕!そんな事したら死路ちゃんに嫌われるだろ!!)」



ランスがブツブツと小声で呟き始める

内容はよく聞こえないがなんか怖い

目が殺人鬼の目をしている

言葉の選択をミスったか?



「大丈夫ですか?」



「なんでもないよ、ごめんね見苦しいとこ見せちゃって」



いやいやいや、目が笑ってないぜランスよ

でもこの流れからしてokして貰えるか...?



「あの、結局俺はダークネス側に寝返ってもよろしいでしょうか...?」



「いいよ」



即答したランスは俺の手を握ってダークネスの組織、高層ビルの中に入れてくれた

だけどさ、これ手を握った意味ある...?



「(うわぁ、死路ちゃんの手、柔らかいなぁ。愛っていう裏切り者はこんな体験をしながら裏切ったんだ...やっぱり殺そう)」



「なにか言いました?」



「なんでもないよ」



というか高層ビルの中、豪華だなぁ

すれ違う人は皆黒いスーツと黒い仮面をして手にはドッサリと書類を抱えている

仮面越しだが目に凄いクマが出来ているのは見て分かる

それに比べてランスはイキイキしている

この温度差はいかに



「ダークネス、幹部第二席ランス。入ります」



「...」



ランスは最上層の豪華な扉の前で立ち止まりコンコンとノックをする

いかにもここにボス居ます、って感じの扉だな

ランスが部屋に入ると外から見たより広々としたテラスがあった

楕円形の机にはそれぞれの幹部たちが座っている

俺が知っているの第一席メグと第七席ジャック、第五席ルジーナも席についてゆったりと寛いでる

中央にいる女性がランスに声かけた



「ランちゃん、遅れたわね?後そこの女性は誰かしら?彼女?遂に彼女できたの?」



グイグイと女性はランスに話しかける

俺は帽子とマスクを外し誤解を解くべく自己紹介した



「えっと...ランスさんの彼女ではありませんが一時間前まで正義の魔法少女やってました、元黒色担当の六七海 死路です。此の度此方に寝返らせていただきました」



「「「「「「「「...」」」」」」」」



部屋に沈黙が走る

ランス以外の幹部と謎の女性は俺の顔を穴が空くくらい見てからランスを交互に見てまたしばらく沈黙が走る

まあいきなり自分の敵(魔法少女)が来たらびっくりするわ

それとも今、疑われているのか?

仕方ない、もしそうなった時様に用意したとっておきを見せよう



「冗談ではありません、俺は復讐の為此方に来ました。疑われているなら証拠を見せます、ホラ」



闇魔法で影に収納していた黒い袋から魔法少女の黄色担当、通堂 美奈の首を出す

魔法少女最弱の美奈は先程寝返る前急いで美奈の家に窓から侵入し魔法で眠らせ殺してきた

お前の死は無駄ではなかったぞ、美奈



「「「「「「「「「...」」」」」」」」」



なのに何故か幹部達は一向に喋らず空気がより重たくなる

よく見ると隣のランスも首を呆然と見つめている



「うん、ガチなのは分かったけど笑顔で元仲間の首証拠として出すってのもどうなのよ...?怪人のウチ等でもドン引きよ?でもランスちゃんが好きなのも分かる―――もがぁ」



「可愛い見た目してやること結構残酷ねぇ。死路ちゃんが復習したい相手ってなにしたのよ?よっぽど酷いことしてそうねぇ、お姉さんゾクゾクしてきたわぁ」



「怖っ」



「ヤバい、この子俺のタイプだわ...」



「それ同感、可愛い顔してこういうキャラの子クルよね」



「ちょっと引く...俺友達辞めるよ?」



俺はそんな幹部達の言葉をスルーして美奈の首をしまう

これ以上部屋が生臭いと鼻がキツイもんね

そんな俺を見ていた謎の女性は優しい声音で俺に聞いた



「彼女、NTRれたんでしょ?大変だったわねぇ。でも貴方、美奈ちゃん殺したけど今頃美奈ちゃんの家には警察が来ているわ。隣の家の貴方は家に帰れるの?」



確かに、忘れてた

どしよ



「忘れてました!てへ」



テヘペロしとくと女性はガバッと俺に抱きついた



「可愛いー、私はロキエナって言ってね〜ランスの姉でダークネスのボスなんだけど〜決めたわ〜貴方、怪人になる気はないかしら?」



「かいじん?」



「うん、そうよ〜不老になってねぇ〜少し耳が長くなるけど〜たいして変わらないわ〜私貴方気に入ったから特別にね?」



不老?

なんて素敵な響きじゃないか

それなら俺の返事は決まっている



「はい♡」



ロキエナさんの胸、大きいなぁ

胸が顔に当たってハッピーだぜ

美女にお願いされたら誰でも断れないよね?



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