第8話
時は祥子以外が悟が居なくなったのを心配し、各々が正気を失いつつも同盟を組み始めたころまで遡る。
「やはり.........祥子さんが悟君を監禁している可能性が高いと思われます」
「私もそう思う」
「悟、悟、悟、悟、悟、悟、悟、悟、悟、悟、悟、悟、悟、悟、悟、悟、悟、悟、悟、悟、悟、悟、悟、悟、悟、悟、悟、悟、悟、悟、悟、悟、悟、悟、悟、悟、悟、悟、悟、悟、悟、悟、悟、悟、悟、悟、悟、悟」
「だって、あの女だけいないもんね。学校にもここ一週間来ていないし」
可憐、美鈴、美嘉、桜。四人が放課後の誰もいない生徒会室に集い結論を出そうとしていた。
元々、祥子は不登校の生徒だったものの悟が彼女を救ったために、学校には来るようになっていた。
「祥子さんの家を知っている者はいますか?」
と美鈴はダメ元で声を掛けては見るものの各々が今まで牽制し啀み合っていた仲なのだ。そんな仲なのに家を知っているはずもない。
それに知っていたとしたら彼女たちは我先にとその家に突撃していたことだろう。
「生徒会長の権限を使って、どうにかできないの?」
「個人情報保護法という厄介な法律があるせいで、聞いても教えてはくれないでしょう。もしものことがあれば教師側、引いては学校が罰せられますからね」
「あの女が学校に登校してくるのを待つしかないっていう状況ってこと?」
「そうですね、あの方は配信業をしてるため一生を安泰に暮らせる.........とまではいかないものの相当お金は持っているのでこのまま一生学校に来ず、悟君を監禁する未来もあり得ます」
「そうだよね~。私も声優業してるしお金は持ってるしお兄ちゃんを元々を養って一生暮らしていくって考えてたから、あいつが私と同じ考えだったらもう学校に来ないかも」
四人の話合い(美嘉を除く)に暗雲が立ち込める。
だれも喋らなくなり、これ以上案が出ないと思い席を立ち祥子の家を探す、または祥子が学校に登校した際に問い詰めるという方向で話し合いを終え、生徒会室を出た。
可憐は学校を出て、そのまま家に帰るのはなんとなく嫌で悟を探すという名目の元、街をフラフラと彷徨う。
そうだ、駅近くのカフェにでも寄ろう。あの店は悟とも何度か訪れていたと悟の面影を探しその店に入ろうとしたその時、視界の端であの女のような人影が映った。
「.........え?」
その時曇っていた頭は急激に覚醒し、そちらへと顔を向ける。後ろ姿ではあるもののあの走っている銀髪の女は確かに祥子だった。
他より足が速かった可憐は、家から出ない運動不足である祥子よりも当然早く、彼女に追いつくことに成功した。
「ちょっと待って。あんた、祥子だよね」
「.........何?私少し忙しい」
振り返った顔は人物は探し求めていた祥子であった。
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