第25話



 「はぁ…」



 彼女はため息をつきながら、僕の手を引っ張った。


 グイッと奥に連れられ、壁の前の柱に立たされる。


 手首には、——「手錠」が。



 「昼過ぎまで休みたいから、そこでじっとしといて」


 「ちょっとちょっと!」


 「やかましいなぁ」



 どういう了見で!?


 やかましいも何も、これって立派な犯罪だよ!?


 自分のやってることわかってる??


 誘拐に監禁、それから脅迫…!!



 「あんまりうるさいと気絶させることになるけど」


 「ヒッ!!」


 「おいサツキ。ターゲットに危害は加えるなよ?」


 「…わかってるって」



 まじでターゲットってなんなんだよ


 思い当たるフシがなさすぎて逆に怖い。


 せめて説明してくれません!?


 この今の状況というか、捕まってる「理由」を。



 「キミも見たでしょ?あの怪物を」



 街中で見た大男。


 “アレ”が何だったのかを、ぐるぐる考えてた。


 でも、わからなかった。


 見た目は「人間」だった。


 服も着てた。


 だけどどう見ても人間じゃなかった。


 “怪物”だったんだ。


 肌の色も、体つきも。


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