待って!!子供っぽくカワイイと噂の公爵様が実は冷徹なイケメンだったなんて聞いてない!?

もふ太。

第1話 プロローグ。

 私達が住んでいる王都ハンプトンは、その昔、魔物達が其れは蔓延し自由無尽に人々を苦しめて来たと聞いた事がある。

 そんな中、「サムソン」伯爵家の令嬢。

 つまり私達のご先祖にあたる「ラファエラ」は聖女でも有った為、魔法士の「クラウディ」家と力を合し、魔物達から王都ハンプトンと人々を護ったと語り継がれていた。


 その話しは約百年以上のものの話しで、今は魔物達は悪さをしょうとはしない。

 寧ろ、魔物達は人間から身を隠す様にハンプトンから離れた場所に有る「コリンズ」と言う森にひっそりと身を隠しながら暮らして居ると言われている。


 そのせいか、人々は徐々に「聖女」と言った伝承は廃れつつ有るも、今じゃハンプトンの王族が所有する公園に私達の先祖「ラファエラ」の像が建っているだけだった。


 だけど、聖女の伝承が廃れつつ有れど、魔法が使える「魔法士」は未だに現在も尚活躍振りは衰える事はない。

 大半は悪さをしなくなった魔物達だったが、稀に悪さをする魔物が現れば人々を恐怖に陥れる事もある。

 その度に、王族直下の騎士団を引き連れ「魔法士」殿達が駆け付けては駆逐してくれていたのだった。


 …とまあ。此処までは今迄の話しであって。これからは話すお話しは「聖女」の子孫でも有る私達「サムソン」家の双子の話しを聞いて下さい。


 そう、私事「ステルラ・サムソン」は其れは見事な「桜の樹々」に囲まれた「聖女」の末裔の家系に産まれた。

 私だけでは無く双子の姉の「セシリー・サムソン」と共に産声を上げたのだった。


 聖女だったラファエラが、こよなく桜を愛していたので先祖達は彼女の為に、屋敷中の周りを桜の樹々で囲んだのだとか。

 だから、今じゃ「サムソン」家の二つ名は「チェリー・ブロッサム」とも呼ばれているわ。

 春になれば、他の桜の樹々よりも「サムソン」家の桜が見事に咲き誇り、いつしかハンプトンの人々の間では「今年も聖女・ラファエラ様がお帰りになられたんだ」と言い伝えられる程。


 そして、そんな人々とは裏腹に幼少期の姉のセシリーは、私とは違って体は弱く本の些細な事でも良く体を壊していた。

 特に、なんの因果がか桜が満開の春の時期に限って体を壊しがちになっていた。


 だから、体の弱い姉に代わり私は日々近所の子供達と一緒に野山を、駆け巡りその日有った事を、姉に報告をするのが日課になっていた。


「でね?でね?ベルナルドったら私達が駄目だっと言っても聞く耳を持たずに崖に咲いている花を採りに行ったのよ?」


「まあっ崖を!?それでベルナルドは大丈夫だったの?」


 私の話しを、ベッドの中から聞いていた、姉のセシリーは目を輝かせ夢中になって聞いていた。


「ええっ!最初は足を滑らせ今にも落ちそうな彼だったけど…なんと間一髪で留まる事が出来たのっ一瞬私達の心臓が止まったかと思ったわ!」


 その光景を思い出しクスクス笑う私にセシリーは「そう…良かった」と安堵の顔を浮かべていた事を思い出す。


「…それでね?何故彼がわざわざ危ない危険を冒してまで花を採りに行ったか分かる?」


「さあ?分からないわ?あっ!待って!もしかしてベルナルドは自分の勇者を皆に見せたかったのかしら?」


 頰を高揚させたセシリーを見て、まるで自分もその場に居たかの様に目を輝かせ話す彼女が私は愛おしく思った。


「違うわ?これよ?」


 これよ?と彼女に分からない様に、自分の背中で隠し持っていた三輪の花をセシリーに渡し見せた。


「まあっまあっこれって!レインの花じゃない?」


 そう、セシリーに渡した「レイン」の花は風邪薬や疲労回復の効果が有る花。

 セシリーが手に持っている三輪では、せいぜい「疲労回復」程度しか効果は無い物で、でもとても貴重な品だと言われていた。


「風邪薬にはならないけど…この花を煎じて飲めば少しは貴女の体が楽になるわ?ベルナルドも貴女の為に採ってくれたの、だから受け取ってくれるわよね?」


「ああ…っ勿論っ勿論だわっ!こんな貴重な花を貴女達だけでっありがとう!今直ぐにでもベルナルドにキスをしたい位だわっ」


「ふふふっ貴女がベルナルドにキスをしたらきっと彼は卒倒しちゃうわね」


「もうっ!ステルラッたらお姉ちゃんを誂うもんじゃないわよ」


 頰を真っ赤に染め、照れている姉は可愛くて私なりに将来ベルナルドと姉が一緒になれば良いのにと思った。


 ベルナルドはライアンズ伯爵の令息で、私達の父とは交友関係にあった。


 まだ、セシリーが今程体が弱くない頃に、良く私達三人と街の子供達で遊んでいた。


 当時、私と姉がまだ八歳の頃の話し。


 けど、それから数年の日が経ち私達は二十歳になった。


 今じゃすっかり健康体になった私の姉セシリーも「サムソン」家一病気知らずとも言われる程までになっていた。 と、言うのもセシリーは十歳の時、当時流行り病に掛かり一度命を落とし掛けた事が有った。


 其れは、ある春の嵐の夜。


 元々、体が弱かった彼女は誰よりも免疫力が無く、あっと言う間に彼女の体を蝕んでしまった。


 其れが切っ掛けかは分からないが…彼女の「生きたい」と言う生命力と私の「助けたい」と言う心の強い「思い・願い」の気持ちが一つとなり。


 私達双子は「隔世遺伝」をしたのだ。


 つまり、私達の中に眠っていた先祖「聖女・ラファエラ」の力が目を覚ましセシリーの命を救ったのだった。


 この事が遭ってから、私達には「ラファエラ」程魔物達を退治する程の力は無くとも「癒やし・回復」と言う力を手に入れた。


「癒やし・回復」その力はとても貴重で貴族や人々からとても重宝された。


 そんなある日、とうとう私達にも…いや私に「縁談」の話しが舞い込んでしまう。


 何故、私だけなのかと言えば姉セシリーには、まだ婚約者とは言え無いけど…恋人が居たのだ。

 そう、姉のお相手は小さい頃、私達と良く遊んで兄の様な存在「ベルナルド・ライアンズ」伯爵家の御令息。


 小さい頃から二人は良く「結婚ごっこ」をしていたけど、まさか本当に付き合う事になるだなんて。


 昔に比べ想像も出来無い程の、健康体になったセシリーは、とても綺麗な成人女性にまで成長をし、今ではハンプトン一の麗人とまで言われいる。


 其れに比べ、同じ双子でも私はぶくぶく太りまるで「パンケーキが服を着ている」みたいと陰口を叩く人まで居るのを耳にした事があったわ。


 その度に姉のセシリーは「あんな噂を気にしては駄目よっ!貴女は誰が何と言おと私のたった一人の可愛い妹なんだから!」といつも私を庇い守っていてくれた。


「そうよ!貴女はただ…その人よりふくよかな体型になりやすいのよ…えっと、誰だったかしら…私の母方のその叔母様の再従姉はといとこの…兎に角その遺伝なのね?けど、貴女はふくよかでもとてもチャーミングなエクボと泣きぼくろがあるじゃない?もっと自信を持ちなさいな?」


「お母様…」途中無理な部分があった様な気がしましたが、母親なりの慰めごとだと受け取り有り難く頂戴しますわ。


 そんな、私達の話しをワインを呑み聞いていた父が「コホンッ」と咳払いをし、先程の私の縁談の話しの続きを話して来た。


「だから、お前も許嫁の話しかが出れば体型が痩せ…少しはマシになるんじゃないか?」


 父のナイフの様な尖った刃物で私の心を容赦無く抉る。


『パパッッ!!・アナタッッ!!』


「なっ!なんだっ私はステルラの為に思ってだななぁ」


 二人は父のワイングラスを取り上げ、頭ごなしで叱っていたのを見て、私は父に心を抉られたけど…何故か笑いが込み上げて来ては「ふふふっありがとうお母様にお姉様」と父が口にしていた縁談の話しを聞いてみる事にした。


 ガルルルッと父を威嚇している、セシリーと父の顔をギッと睨んで居る母に、クスクスと笑う私に父は冷や汗を拭っては話しを始める。


「まあっ!ステルラのお相手ってあの「クラウディ」公爵家の?」


「ああ、そうだクラウディ公爵家の御子息「リカルド・クラウディ」卿だ」


 父の言葉に、カチャンッとティーカップを置いたセシリーは驚いた顔で「あの…リカルド様と」と私の顔をマジマジと眺めて来た。

 そんな、姉に私もつい手が伸びていた、クッキーを床に落としてしまう程の相手だ。姉が驚いて私の顔をマジマジと眺めて来るのも分かると言うもの。


 リカルド・クラウディ様の「クラウディ」家は私達「サムソン」家と魔物を退治した名家中の名家「魔法士」の家系だ。


 そんな、凄い家系の息子が私の許嫁の相手だなんて!

 そう言えば、社交界のパーティで一度だけお見掛けした事がある、リカルド様って「あのお方って変わり者だとお聞きしましたわ?本当に大丈夫なんですの?」


「セシリーッ言葉が過ぎるわよ?」


「だって、ママッ」


 そう、リカルド様は王族直下の「魔法士」で有りながら「魔塔」には入ら無い変わった人だと聞いた事がある。

 其れに、これは人の好みだから仕方が無いのだけど、偶々令嬢達が彼の事で話しをしているのを、耳にした事があった。


「リカルド様って名家「クラウディ」公爵家のそれも優れた「魔法士」家系のお方でとても綺麗な容姿なのは良いのですけれど…ねぇ?」


「ええ…幾ら容姿が良くとも、他の男性みたいに男らしさは無いのよねぇ」


「そうそう、何だか子供っぽいしと言うか頼りが無いと言うか…男性としての魅力がもう一つ物足りないと言うか」等々云々。


 つまり「子供っぽい」=「頼りが無い」=結果「この先苦労をするのが目に見えている」


 とまぁ…自分達の事を棚に上げ、随分と好き勝手な意見を言っているもんだと、他人事の様に聞き流していたっけ。

 けど、そんな嫌な話しが聞こえて来ても、私には彼を庇う様な、反論する勇気が無ければ彼女達と同類ね。


 私には、一切関係無く寧ろ無縁の人だとばかり思っていた人が、まさか私の許嫁の相手になるだなんて!


 …って、まだ許嫁になるって決まった訳ではないけど。






 ◆◇◆◇◆後書き◇◆◇◆◇


ここまで読んで頂き本当にありがとうございました(*´艸`*)













































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