第7話夕凪真白

「ちょっと真昼〜今日の晩御飯どうする?」

「え〜真昼全然お腹空いてなーい!」


そう言ってこちらを振り返ろうともせずに床に寝転びながらノートパソコンでゲームをして居る妹を見て、真白は はぁ〜っと大きなため息をついた。


「それもそうだよね……真昼あのお兄さんにいっぱいご飯奢って貰ったんだもんね」

「うん!」


そうキラキラとした表情で答える妹の顔を見て、真白はふとクレープを手渡してくれた時の笑顔の表情を思い出し、それと同時に今更ながらにあんなにも奢ってもらったのに相手の名前すら聞いていない事を思い出した。


「そう言えば!私焦ってたからってあんな酷い事までして、更にクレープまで奢って貰ったのに名前すら聞いてない……」


あまりの不義理に真白は肩を落とした。


そんな真白を気にしたのか、真昼はゲームを一旦止め真白の側までやってきた。


「どうしたのお姉ちゃん?」

「え、えっとその……真昼は今日一緒に居たお兄さんの事覚えてる?」

「ん?なつきぃの事?」

「そ、そう!その夏樹さん?にお姉ちゃん今日のお礼をしなきゃ行けないと思ったんだけど、真白はその夏樹さんと何処で会ったか覚えてる?」


そう聞かれた真昼は顎に手を乗せうんうんと考えると、ハッとした様な表情をして言葉を返してきた。


「ゲームセンター!なつきぃゲームめちゃくちゃ上手だった!」

「そう!ゲームセンターね」

「けど……」

「けど?」

「なつきぃあんまり家から出ないんだって!真昼と一緒って言ってた!」

「そ、そう……」


そのまさかの真昼の返事に真白は何とも言えなくなってしまった。


そんなこんな真昼と話して居ると、窓の外は暗くなり時計の針は6時50分を指していた。


「あっ!もうこんな時間!急がないと間に合わない!真昼お姉ちゃん今からお部屋行くから、もしお腹空いたら冷蔵庫の中にハンバーグあるからチンして食べといてね」

「うんわかった!」


そう言って真白はエプロンを外して自分の部屋では無く、その隣にある立ち入り禁止と書かれた看板がかけられた扉を開き中へと入った。


その部屋は壁には吸音材や防音材を貼り付けており、防音性能完璧な部屋になっており、部屋の中には複数のゲームの本体にメインで使って居るデュアルモニターのPCに、サブで使って居るワンモニターのPCが1台ずつに、その他大量の機材などが置かれた俗に言う配信部屋がそこにはあった。


「あ〜ヤバいヤバい遅れる遅れる!」


そう言い真白はどかりと椅子に腰掛けると、パソコンの電源を付け急いで配信の準備を始めた。


「よしっ!準備完了!」


そう言うと真白はへッドホンを耳に付けると、そのまま配信開始ボタンを押した。

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