秋の短歌2首をお届けします。

滝口アルファ

前編 「鶏頭」の短歌

鶏頭の紅きを見ればこの夕べ王を毒殺して来しごとし


「鑑賞文」

2パターン考えました。


(A)

鶏頭の真っ赤な花を見ていると、

私はどこかの王を毒殺してきた、そんな錯覚に襲われる。

ああ、夕焼けが鶏頭のように真っ赤だ。


(B)

鶏頭の咲いている夕暮れ。

その花の毒々しい紅が、私の感性を伝って、

私の中に「王の毒殺」という禍々(まがまが)しい

イメージの花を咲かせているのだろうか。

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