J7W1“trembling lightning“・B-36”Peace maker”

千九百四十五年八月三日。

試験飛行場にて、一機の“異端の翼”の飛行試験が終了した。

「乗った様子はどうだった?」

「こいつなら、超空の要塞B-29 スーパーフォートレスを墜とせるかもしれん・・・」

「確かに、足も速いし、火力もある。紫電しでん雷電らいでんよりも良いだろうな」


「敵爆撃機来襲!機体は不明!新型です!」

「なんだと!?」

「今出せる機体は!」

菊花きっかは故障中、四式が十と、五式が五です」

「厳しいか・・・」

「いや、俺がこいつで出る」

「いいのか?まだ試験は終わってないぞ」

「大丈夫だ。出撃の準備を頼む」


「気をつけて来いよ」

「ああ」


十八試局地戦闘機じゅうはちしきょくちせんとうき“J7W1震電しんでん”出撃す!」

エンジンが吹き上がる。推進式六枚プロペラは、強烈な推進力を生み出しあっという間に機体期待を離陸させた。

「敵は・・・あれか。超空の要塞スーパーフォートレスよりデカイな」

敵爆撃機は、B-29より巨大な機体に、六発のエンジンが後ろ向きに取り付けられたような形をしていた。

機銃も多い。大量に弾が飛んでくる。だが、速度だけでなく旋回性も高い震電は簡単に避けられる。そして、敵機の横には英語で文字が書かれていた。

平和の使者Peace maker・・・馬鹿げてる」

俺は、敵機の上空へ回る。高度一万四千メートルから、急降下で攻撃をする。

三十ミリ機関砲四門の圧倒的火力で、片翼のエンジンを破壊し、機体中央を攻撃する。

たちまち大爆発が起こり、震電の初陣と巨大爆撃機の初陣は対照的に終わった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る