りんご愛

 我が家の近くのスーパーには、いつも旬のフルーツがたくさん置いてあります。今はりんごが目白押しです。赤、青、大玉、小玉。まさによりどりみどり。買い物について行くと、いつもしれっとカゴに入れます。私が剥くからいいでしょ、なんて言って。


 皆様、突然ですがりんごの皮、包丁で剥けますか?


 私は中学校時代、包丁でりんごの皮剥きをする実技テストがありました。ピーラーは禁止。こわごわ包丁を持って、何とか見よう見まねでやってはみたものの……。表面がボコボコで、ずぼら丸出し。実技で失った点をペーパーテストで必死に稼いだ思い出があります。この不器用さが嫌で、今までりんご剥きは母にお任せしていました。


 高校生になって、料理も楽しくなってきたことだし、りんごを使って何かできるようになりたい!ふとそう思って、練習を始めました。


 どうやって練習するかって?単純な方法です。とにかく日々りんごを剥きます。学校の日も休日も。りんごが手元にある限り。始めた頃よりはマシですが、まだまだいびつです。

 テストじゃないんだから、包丁じゃなくてピーラーでやっても良いじゃない。そう思ったこともありました。

 しかし、ある時りんごの皮と一緒に手も犠牲にしてしまってから、包丁での皮剥きに落ち着きました。ケガをするのは嫌ですもんね。


 半分に切った時、透き通った金色の模様が入っていると、思わずにやけてしまいます。だって、蜜がたっぷり入っている証拠ですもの。絶対美味しい。


 剥いたものは、たいてい朝ごはんのデザートとしていただきます。

 ひとくちかじると、しゃきり、といい音。口の中にじゅわっとあまずっぱい香気が広がります。生のりんごのみずみずしさは、きっとどんなジュースにも勝てません。いつかひとり暮らしをしたら、丸ごとりんごをひとりで食べるのが、私の密かな夢。家族みんなで分け合って食べるのも美味しいし楽しいけれど、ひとりじめの背徳感も味わってみたいです。


 たまに、スカスカなりんごに当たるときもあります。そういう時はお砂糖でコンポートにしたり、バターで焼きりんごにしたり。あつあつのりんごを、シナモンやアイスを添えていただくのも、お家でカフェ気分が味わえて良いものです。


 幸い、現時点で家族から「りんご飽きた!」とクレームは入っていないのでセーフ。毎回違う品種のりんごを買っているから、食べ比べのような感覚なんでしょうか。でも、りんごの品種は国内だけで約二千種。コンプリートしてみたいけれど、沼が深すぎて手を出すのは危険なような……?

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