おいしい暮らし
亜里沙
もっちりベーグル
去年の冬から、ベーグルを焼くようになりました。
勉強で溜まったストレスを発散するためです。
「ストレスが溜まるほど勉強しているか?」と聞かれたらちょっと困るけれど、まあそんな理由。小麦粉と砂糖、塩をちょっとにドライイースト。
こねているときは時間を忘れられます。なんだか、幼稚園の頃に好きだった粘土遊びみたい。
発酵を終えて、生地が二回りくらい大きくなっているのを見ると、なんだか嬉しくなります。たくさんの穴がポコポコ開いているのが、愛おしいのなんのって。我が子を見る親の気持ちってこんな感じなのでしょうか?実際どうなのかはわからないけれど、その時になったらわかるでしょう。まあ、まずはパートナーを見つけるところからですね、ええ。
さて、パンの種類はいろいろあれど、なぜベーグルなのか。それは、発酵に時間を取られないからです。一時間もあれば完成するのでお手軽。学校から帰ってきて、課題を終えて、夕食を食べても、寝る前の時間ですぐ焼けます。ここだけの話だが、テスト期間中もよく作ります。その一時間で勉強しろよという話ですが、赤点は取っていないのでセーフ。
あと、かたちが可愛いのも推しポイント。丸っこくってドーナツみたいで、上手に焼けるとぴかぴかのツヤツヤになるんです。気温や配合によって出来具合が違うのもおもしろい。一筋縄ではいかない感じ、私は好き。最近は生地にお豆腐も混ぜ込んで作るのがマイブーム。そうすれば、日が経っても、中がもちもちで柔らかいベーグルの出来上がり。
まだ眠たい朝、ベーグルをグリルで温めて、熱々をいただくと、一日中ご機嫌でいられます。ええ、単純なので。きつね色にこんがり焼けた外側を割ると、パリッといい音。それでいて、中身はむぎゅっと詰まっていて、柔らかい。
そのままで食べると、小麦の良い香りと優しい甘さがダイレクトに伝わってきて、とてもよい。横にスライスして、トーストするのもおすすめ。バターがじわっと染み込んでいるのを噛みしめる幸せは、何物にも代え難いものです。ジャムをたっぷりのっけても、とろりとチーズをかけても美味しくいただけますよ。マヨネーズを薄く塗って、ハムとレタスでサンドウィッチにしてもいい。プレーンに飽きたら、作る時にチーズを入れたりココアを入れたり、アレンジも楽しめます。
小麦の値段も上がっているから、作るのは週にいっぺん。まだまだ初心者マークが外せない。特に私は自他ともに認めるズボラです。「大体こんな感じでしょ!」と勘を頼りに作るから、ひとつとして同じものができたことがないのです。でもなぜか、自分で作ったベーグルは、特別美味しい。たとえそれが不恰好だったとしても。
これをひとつの楽しみに、一週間を過ごしています。
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