第37話 車購入


 「おお〜。色んな車が置いてあるね〜」


 「こういうのってメーカー毎に置いてるとかじゃないんだな。外車も含めて色々なメーカーの車が置いてあるじゃん」


 T○Y○TAならそれだけとかさ。

 まぁ、俺は色々見れるから良いんだけど。


 「お待ちしておりました!」


 「今日はよろしくね」


 ゲーセンで遊び散らかした翌日。

 宣言通り、お兄さんが勤めている車屋さんにやって来た。


 店員総出で出迎えてくれたのには流石に驚く。

 なんと今日、貸切にしてくれたらしい。

 なんか恐縮しちゃうね。絶対に買わないといけない気持ちになってくる。

 まさかそれが作戦か? 中々やりおるわ。


 昨日ゲーセンで会ったお兄さんがスーツをピシッと着て接客してくれる。

 なんか適当なコートにスラックスっていうラフな格好で申し訳ないね。

 桜さんは相変わらず露出多めの服装だし。


 「本日はどのような車をお求めか決まってますか?」


 「いや、全く。正直そんなに興味が無いんだよね」

 

 お兄さんと店内を歩きながら、車を見て回る。

 他の店員さんもゾロゾロとついてきて、俺が偉くなったと錯覚しちゃうね。

 確かに1級の狭間を攻略した、今一番ホットな人間ではあるけど、偉いのかと言ったらちょっと違うし。


 で、車なんだけど。それなりに乗れたら良い。カッコいいのにも興味あるけどね。


 「あたしは〜スープラちゃんが欲しいんだけど〜」


 「昨日のでハマっちゃってるじゃん。じゃあとりあえずそれ一台。型やらオプションやらは後で相談という事で」


 「あ、ありがとうございます!!」


 「後、ランエボも見せて欲しいな」


 「ランサーエボリューションですね! こちらです!!」


 因みにランエボなんだが、復活している。

 魔石のお陰でエネルギー革命が起こり、スポーツカーのレースブームが再燃して、それにあやかって復活させたみたいだ。


 「よし。じゃあこれも一台」


 控えめに言って、俺たちってカモ客だよね。

 特にプレゼンとかしなくても、勝手に買ってくれるから。

 ここから更にプレゼンなんてされたら、その気になってホイホイ買っちゃうぞ?


 「スポーツカーも良いけど、普段使い出来る車も欲しいなぁ」


 「正直都内移動するだけなら軽でもよくな〜い?」


 間違いない。長距離移動するなら軽はきついけど、都内移動くらいならねぇ。

 なんだったら、長距離移動はジェットを買ってもいい。

 これから海外に行く機会もあるかもだし。

 都外に行くにも自家用ジェットってあったら便利じゃないかな。セレブって感じもするし。


 「どうなさいますか? 勿論、軽自動車もご案内出来ますよ」


 「ふむん。どうしたものか」


 ここでグイグイと高い車を勧めてこない辺り、このお兄さんは良く出来た人間だな。

 ディーラーとしてはダメかもだが。こういうのって歩合なんでしょ? 知らんけど。


 俺なら歩合で給料がかかってる場面で、こんなカモみたいな客が来たら、とにかく高級車をゴリ押しするけど。

 素人には分からない考え方でもあるのかな。


 「まっ、お金はあるんだし良さげな車を買っていくか」


 「浪費しすぎじゃな〜い? 大丈夫なの〜?」


 いや、お金はあるから。お金持ちは積極的に使って経済を回さないといけないんでしょ?

 馬鹿の俺には経済の成り立ちは分からんけど。


 「もしお金が無くなったとしても、狭間に行ってお小遣い稼ぎしに行けばいいだろ」


 「なんて人生を舐めた発言なんでしょ〜」


 俺からしたら現代の次元の狭間なんて、お金が落ちてるとしか思えないからね。

 万が一はアイテムボックス内の、価値あるものを放出すれば良いんだし。


 「って事で、お兄さん。高くても良いからおすすめの車を紹介してよ」


 「お任せ下さい!」



 それから結局、普段使い用にセダンのレクサスを一台。

 使うか分からないけど、アルファードとハリアーを一台ずつ購入。


 「納車時期って決めれるのかな? レクサスだけは早めに欲しいかな。他は家の改装が終わるぐらいまでにしてくれたら良いんだけど」


 「お任せを! 超特急でやらせて頂きます!」


 なんと、1週間でやってくれるらしい。

 ありがたやー。こういうのって結構時間がかかるイメージがあったんだけど。

 VIP待遇だと違うね。


 「んふー。なんかお金をいっぱい使うと気持ちいいな」


 「外車は買わなかったんだね〜?」


 「いや、特にこだわりはなかったんだけど。ポルシェとかフェラーリはありきたりすぎるかなと思って」


 「あたしジャガーとかも興味あったんだけど〜」


 「買えば良いじゃん。頼む?」


 「こんなに何台も車は要らないでしょ〜」


 なんか興が乗るとポンポン買っちゃうよね。

 お金持ってて良かった。異世界で魔王討伐したお陰だね。頑張って良かったです。


 「よーし! この調子で自家用ジェットも買いに行っちゃうか!!」


 「ほんとに買うの〜?」


 こういうのはノリで行かないと。

 ここで躊躇すると、一生買わない気がする。

 思い立ったが吉日と言いますし?



 それから俺と桜は接客してくれたお兄さんや、店員の方々とサインを書いたり、一緒に写真を撮ったりと交流しつつ、お店を後にした。

 他の納品時期は追って連絡するとのこと。


 「ささ! どんなのがあるか楽しみだな!」


 「だんちょ〜が楽しそうだから良いんだけど〜。買って使わないとか辞めてよね〜」


 大丈夫大丈夫。

 買ったら乗りたくなるから、最低でも一回は乗るはずさ。そこから先は知らんが。


 ところで、自家用ジェットっておいくらぐらいするんでしょう?

 今の残金で足りるのかな? 足りなかったら、狭間に行かないとなんだけど。

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