うつろい

ひめのいなくなった

のなかの

はかなさを

なげいている 

皇子みこ



姫のあとを

って、月へ 行くことも かなわず

その御身おんみは、この世から

ることも 許されないので、ここから 離れることも できない。 



姫がいない この世で 生き永らえることなど 

むなしいだけだ。

だから、

姫から もらった 不死ふしの薬だという

秘薬ひやくを やしてしまおう。手離してしまおう。

とはいえ、

姫への想いは手離せない、と

なみだながす。


秘薬を燃した

けむり

げられていく。

煙が昇って逝く

てんあおぎみる。

まるで、

わたしのおもいよ 姫に とどけと いわんばかりに。




この世の中が思い通りにいかないからといって、

わたしは 自由に

この世から消えてしまうこともできなくて。




煙と化した秘薬は

そらへと えて く。 

わたしも ともに つれていっては くれまいか。


嗚呼ああ

姫がかえったという

つきは 何処に あるというのだろう。

いまは みえない。

わたしには みつけられない。


姫が 見えない。


どこに いるのか。



姫に 逢いたい。


姫に 逢いたい。








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