第41話

ヨウイチたちは冒険者ギルドマスターに商業ギルドの紹介文を書いてもらった為、商業ギルドへと足を運んだ。

「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか?」

受付に行くと、綺麗な女性が対応してくれた。

(うん、やっぱり冒険者ギルドの受付嬢も美人だったけど、商業ギルドの受付嬢も綺麗だな・・・)

俺はそんなことを考えながらメイドさんに言われた通りに紹介状を渡した。

「実はとあるダンジョン攻略の為に小船が欲しいのですが・・・」

女性は驚いた表情をした。

「・・・なるほど・・・確かに、冒険者ギルドマスターの紹介文ですね。」

「はい、なので小船を売って欲しいのですが・・・」

女性は納得した表情をした。

「わかりました。では、ギルドマスターに相談してきます。少々お待ちください。」

そう言うと、女性は奥へと入っていった。

(・・・それにしても綺麗な人だな・・・)

ヨウイチはそんなことを考えながら待っていたら先程の女性が戻ってきた。

「お待たせいたしました。こちらへどうぞ。」

女性の案内で奥の部屋へと通された俺たちは、応接室で待つように言われた。

「ヨウイチ様、ギルドマスターがお会いになるそうですので、少々お待ちください。」

「ありがとうございます。」

女性が部屋から出ていくと、俺はリナたちに声をかける。

「とりあえず、ギルドマスターに会えるみたいだから少し待とうか。」

(それにしても綺麗な人だったな・・・)

ヨウイチがそんなことを考えていると、ドアがノックされたので返事をしたら先程の受付嬢が入ってきた。

そして、一緒に男性が入ってくる。男性は40代後半で渋い感じのおじ様だった。

「ヨウイチ様、お待たせしました。私は商業ギルドマスターのドグルと申します。」

「初めまして、俺は冒険者のヨウイチです。」

お互いに自己紹介をしてから席についた。

「では早速ですが、小船が欲しいとのことですが・・・」

「はい、実はとあるダンジョンに湖を渡る方法を探していまして・・・そこで船があればと思いまして・・・」

「なるほど・・・冒険者ギルドマスターに話を聞いていましたが、あなた方がアガルタ王都ダンジョンの発見者でしたか。」

「はい、それで冒険者ギルドマスターに紹介状を書いてもらい、ダンジョン攻略の為に協力いただけないでしょうか。」

「わかりました。では、商業ギルドのギルドマスターとして協力させていただきます。」

「ありがとうございます!」

俺はホッと胸をなでおろした。

これで小舟が手に入るからだ。

商業ギルドマスターのドグルさんとは細かい打ち合わせを行う。

「それで、どのような小船をお求めでしょうか。」

「そうですね、パーティメンバーと一緒に渡れて、サハギン程度のモンスターの攻撃を通さないものがいいです。

「それだと、6人よし少し大きい程度の船で、船底に強化された鉄の薄い板を張り付けてあるものとかよさそうですね。ただし、鉄の板も一生続くわけではないので、定期的にメンテが必要になると思います。」

「どのくらいの頻度でメンテを行うのですか?」

「通常ですと、半年ほどでしょうか。ただし、攻撃が多ければ多いほどその分に短くなると思っていただいた方が。」

「あぁ、まあそれは仕方ないですね。」

「あとは、船底に衝撃を吸収する素材を張り付ければ更に安全になると思いますが・・・」

「それはどのようなものですか?」

ヨウイチはドグルさんに質問する。

「そうですね・・・例えばですが、スライムの核を加工したクッションとかですね。」

(なるほど!確かにそれなら弾力性があるから多少の攻撃なら防げそうだな・・・)

俺はその案を採用することにした。

その後、細かな船の仕様を決めて、製作してもらうこととなった。

その際、船に慣れるためということで、通常、一般の方々が使う小船(中古)をもらった。

なんでも、若く、注目度のある俺たちに少しでも恩を売っておきたいと正直に言っていた。

まぁ、それ以外の打算も込みだと思われるが・・・

いずれにしても小船を手に入れた為、明日は第4層の湖の端に向かい、試してみることになった。

船を試してみて至らないところがあれば改造も受け付けるとのことだったので、色々と試してみることに。

(その分お金はかかるが・・・仕方ないことだな。金額の上限を決めておけば問題ないだろう。)

ちなみに、船底の素材やクッションとして使うスライムの核も商業ギルドマスターにお願いした。

(これで湖を渡ることができるな・・・まぁ、攻略再開までには時間かかると思うが・・・)

商業ギルドマスターと細かな設定の打ち合わせを終えたら、既にお昼になっていた。

俺たちは商業ギルドの近くにある定食屋で昼食をとることにした。

「そういえば、ヨウイチ君はどうやって船からサハギンを倒すつもりなの?」

リナがそんなことを聞いてきた。

「ん?あぁ、とりあえず槍で水面から突こうかなと。」

「・・・なるほど・・・でもそれってかなり難しいんじゃない?」

「確かにそうだな・・・今回貰った小船で試してみて、攻撃方法も模索しないとな。」

「そうだね。魔法が使えるならよかったのに・・・」

そんな話をしながら昼食を終えると、明日のダンジョン攻略の為に必要な物をそろえてから家へと戻った。


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