第7話

2人で店を出て、町を歩いているとリンさんが話しかけてきた。

「ヨウイチはこの後どうするの?」

「うーん・・・特に決まってないんですよね・・・」

(どうしようかな?)

「じゃあ、私の買い物に付き合ってもらえるかしら?」

「いいですよ!」

(まぁ、どうせ暇だしな!)

「ありがとう!じゃあ、まずは服屋に行きましょうか!!」

2人で服屋に向かった。

(おぉ!ここが市場の服屋か!!)

店内に入ると、服がたくさん置いてあった。

(おぉ!すごいな!!)

「じゃあ、ヨウイチはここで待っててもらえるかしら?」

リンさんが笑顔で言った。

「わかりました!」

(え?一緒に行かないの??)

リンさんは店の奥へと入っていってしまった。

(まぁ、いいか・・・)

しばらくして、リンさんが奥から戻ってきた。

「ヨウイチ!お待たせ!!」

(お?リンさん、なんか服が変わってる?)

不思議そうにしていると、リンさんが笑顔で言った。

「どうかしら?」

(おぉ・・・めちゃくちゃ似合ってるな!!)

「すごく似合ってますよ!」

(うん!すごく綺麗だし可愛いな!!)

リンさんが少し照れながら言った。

「ふふっ!ありがとう・・・これ買うわ!」

(なんか、こっちが照れるわ・・・)

「じゃあ、次はどこに行きましょうか?」

「そろそろお昼だし、ご飯にしましょう!」

2人で市場の近くのレストランに入った。

席に着くと、リンさんが店員に向かって言った。

「私はこのパスタとサラダをお願いします!ヨウイチはどうするのかしら?」

(うーん・・・どうしようかな?)

そんなことを考えていると、店員が話しかけてきた。

「お客様は何になさいますか?」

(どうしようかな・・・)

「何でも好きなものを頼んでちょうだい。」

「じゃあ、俺も同じものでお願いします!」

店員は笑顔で答えた。

「かしこまりました!」

2人で料理を待っている間、リンさんが話しかけてきた。

「ヨウイチは普段、どんな料理を食べるのかしら?」

(そういえば、あんまり気にしたことなかったな・・・)

「そうですね・・・朝、晩は宿で出してもらっているものを食べていますが、昼は携帯食ですね。依頼中の時が多いですし。」

「リンさんは普段何を食べてるんですか?」

「私もだいたい同じね。朝と晩は宿で、お昼は決まってないわ!」

たわいもない話をしていると、店員が料理を運んできた。

「お待たせしました!こちらパスタとサラダになります!」

(おぉ!美味しそうだな!)

俺が料理を食べ始めると、リンさんも食べ始めた。

(うん、うまいな!)

「このパスタも美味しいわね!」

(やっぱり、誰かと食べるご飯は美味しいわ!)

2人で料理を食べながらお喋りをした。

「そういえば、ヨウイチは最近冒険者になったのよね?」

「はい、そうなんですよ!!」

(なんか、改めて言われると照れるな・・・)

「じゃあ、これからどうするの?」

(どう・・・って何がどうなのだろう?)

そんなことを考えていると、リンさんが笑顔で言った。

「今後、パーティを組んで戦ったほうがいいわ。パーティを組むと戦い方が変わって戦いやすくなるわよ。」

「そうですね・・・いい人がいればって感じでしょうか・・・」

(確かに、戦い方が変わって戦いやすいかもな・・・ソロだと限界がきそうだ。)

「だから、少し考えてみてね!」

昼食を食べ終わった後、リンさんとブラブラしながら町を回った。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


リンさんと町を回っていると、日が落ちてきた。

(そろそろ、宿に戻った方がいいかな?)

「リンさん、もう日が暮れてきましたし、そろそろ戻りましょうか?」

「そうね・・・じゃあ、帰りましょう!」

2人で宿屋に向かって歩いていると、前から冒険者風の男が歩いてきた。

その男はニヤニヤしながら話しかけてきた。

「よう!姉ちゃんたちデートか?」

(え?デート??)

「えぇ!そうよ!」

(え!?そうなの??)

デートだった事に衝撃を受けていると、男がニヤニヤしながら話しかけてきた。

「へぇー、そうかよ!じゃあ、姉ちゃん、俺とも夜のデートしてくれよ!!」

(え!?どういうこと??ナンパか?)

「ごめんね・・・私たち、もう帰るから!」

そう言って、リンさんは俺の手を引いて歩き出した。

ナンパ野郎とすれ違おうとすると、男が声をかけてきた。

「おい!!ちょっと待てよ!!」

(え?なに??諦めてないの?)

多少呆れて男を眺めていると、リンさんが小声で話しかけてきた。

「ヨウイチ、ちょっと待っててちょうだい。」

(え?でも・・・)

戸惑っていると、リンさんが笑顔で言った。

「大丈夫よ!」

(うーん・・・いいのかな?)

男が怒鳴ってきた。

「おい!!無視してんじゃねぇ!!」

(えぇ・・・どうしよう??)

「しつこい男は嫌われるわよ?そもそも楽しいデートを邪魔するんじゃないわよ。」

(おぉ・・・なんかかっこいいな!!)

俺がそんなことを思っていると、男が怒鳴ってきた。

「うるせぇんだよ!!」

(うわぁ・・・怖いなぁ・・・)

リンさんが笑顔で行動した。

「じゃあね!」

(えぇ!?ぶっ飛ばした!!えぇ・・・なんか、すごいな・・・)

男が起き上がりながら叫んだ。

「くそが!!」

(おぉ!痛そうだな・・・)

「これ以上絡んでくるなら容赦しないわよ?」

(おぉ!かっこいい!!)

男は走って逃げていった。

(え?これで終わり??なんか、呆気なかったな・・・)

「じゃあ、戻りましょうか!」

(なんか、すごい経験をしたな・・・)

リンさんが俺の手を引っ張って歩き出した。

(やっぱり、リンさんは綺麗だなぁ!!)

手を引っ張るリンさんの顔を眺めながら、そんなことを考えつつ宿屋に戻った。

宿に戻ると、リンさんが笑顔で話しかけてきた。

「今日は楽しかったわっ!ありがとう!」

「俺も楽しかったです!」

「私も宿に戻るわね!またね!」

(なんか、あっという間だったな・・・)

ちょっと幸せな気分になりながら眠りについた。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


それから数日はスティレットに慣れるため、依頼でゴブリンを刈りながら修行した。

依頼が終わり、ギルドに戻ると人集りができていた。

「おい!早くしてくれよ!!」

(ん?何してるんだ??)

人集りの後ろから覗いてみると、受付で揉めているようだった。

「何度も言っていますが、5人パーティを組まないとこの依頼は受けられません。」

「だから、お前じゃ話にならないんだよ!!」

(おぉ・・・なんか揉めてるな!!)

受付嬢のメイさんが困っていると、後ろから声が聞こえた。

「おい、そこの兄ちゃん!」

(ん?誰だ??)

振り返ると、見知らぬ筋肉ムキムキのオッサンが立っていた。

(誰だ?この人・・・)

「受付嬢が困っているだろうが!早く退かんか!」

オッサンがそう言うと、騒ぎを起こしていた男が怒鳴った!

「オッサンには関係ないだろ!!引っ込め!!」

「なんだと!!貴様!!」

(おぉ!怖っ!!)

俺は慌てて間に入った。

「まぁ、落ち着いてください。」

(俺が止めないとヤバそうだな・・・)

「なんだ?お前は?」

オッサンが睨みつけてきた。

(うわぁ・・・怖いな・・・)

そんなことを考えていると、リンさんが話しかけてきた。

「ヨウイチ、大丈夫?」

(え?なんでここにリンさんがいるんだ?)

「リンさん!?なんでここに?」

「私も依頼を受けに来たのよ!」

オッサンが話しかけてきた。

「ほぉ、お前がヨウイチか、リンから話は聞いているぞ!」

(え?リンさんから?)

「どういうことですか?」

俺がそう聞くと、オッサンがニヤニヤしながら話しかけてきた。

「まぁ、いい!それより、早く依頼を受けるぞ!」

オッサンはズカズカと人を押し避けて進んで行き、メイさんに話した。

「Aランクのガインだ。オークの集落討伐の依頼を受けに来た。」

(え!?このオッサン、Aランクなのかよ!!)

「はい!ギルドマスターから話は聞いています!すぐに手続きしますね!」

(ギルドマスター?なんか、すごい人みたいだな・・・)

「あー私も私も!Aランクのリンよ!オークの集落討伐に行くわ!」

「わかりました!手続きしますね!」

メイが手続きをしていると、ガインさんがメイさんに聞いた。

「揉めていたが、何があった?」

「Cランク以下の冒険者は、オークの集落討伐依頼は5人以上のパーティじゃないと受付できない制限をかけているのです。」

(なるほど、そういうことか・・・)

受付で揉めていた男は、オッサンがAランクの冒険者だとわかり、青褪めていた。

「お・・・おい、お前ら!行くぞ!!」

揉めていた男が大声で叫ぶと、他の仲間がビクッとして動き出しギルドを出ていった。

それを見てメイさんが笑顔で言った。

「ガイン様、リン様ありがとうございます!依頼書はこちらです!」

「気にするな!じゃあ、俺たちは行くぞ!」

ガインさんがそう言うと、リンさんとギルドを出ていった。

(なんか、すごい人だな・・・)

そんなことを思いながら俺も依頼報告書し、ギルドを出た。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

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