第27話 挑戦状

 連日、勉強練習勉強練習。


 体がこたえても仕方ない。


 どんどん学校を休む部員も多くなっている。二三日で帰って来る者、一週間いない者もいて大会一か月前にして監督やマーチングの講師咲先生以下数名、顧問が慌てだした。



 そもそも全国大会に出たことが無いのに初めての状態で練習を詰め込んだら、そりゃ体も心もおかしくなる。自浄作用は消え、サボりも部員同士で自慢しあうようになっていた。



 潮時しおどきか。こっちだって楽器は辞めたいしコンテストに出たくもない。ただ折れた足を引きずって、面白くも無い勉強と人が減ってすかすかのメンバーの撮影も面倒だ。姉が怖いから毎日通っているだけだ。


「お疲れ。もう明日から来ないよ、リハビリもあるし」


 ミーティング途中で僕は抜けようとした。

 みんながゴソゴソし出した。なんだ? サプライズプレゼントか? 誕生日、全国大会の日だな。


「光さん待ってください。逃げるんですか?」

 池田という後輩だ。トロンボーンを吹いている。


「は?」

 

「この部員が減った中でせっかく毎日来ていたのにここで終わりですか? どうでしょう。残っている僕たちからどうして逃げるのか説明して貰えませんか?」

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