占い部の美少女に恋愛相談したら「告白したら彼女できるよ」って言われたから妹に告白したら撃沈したんだけど、その翌日占い部の子に懐かれるようになってさらに数日後なぜか妹も告白してきてどうすればいいんだ俺は

にこん

第1話 告白は成功するよ

ドカッ。


放課後の廊下を歩いてたらクラスの運動部の男子が大人しそうな女子にぶつかっていた。


「あっ……」


ドサッ。

持っていたものを床に落としてしまった女の子。


男子は謝るどころか、こんなことを言っていた。


「なんだ佐藤か、根暗すぎて見えなかったわ。ぶつかったおめぇが悪いんだぞチビ」


そんなことを言って仲間と一緒に去っていった。


急いで落ちたものを拾い集め出す女の子のことは知っている。


【占い部】の佐藤。


同じクラスメイトだ。

目立たないやつ。


俺もしゃがんで手伝ってやることにした。


「あ、ありがとう東條くん」

「別に、気にしなくていい。あれサッカー部の荒尾だっけ?酷いよな」


ぶっきらぼうにそう答える。


自分でもぶっきらぼうだとは思うけど女の子とのコミュニケーションの経験値が足りなさすぎるからこうなってる。


あとは、そうだ。

最近悩みがあるから、それに思考を割かれているのもある。


散らばっていたのは部活で使うような資料だった。


「はい」


拾い集めて渡した。


さてと、帰るか。

そう思ったら


「あ、あの東條くん?」


声をかけられて佐藤を見た。


「なに?」

「お礼がしたいんだけど、その【占い】とか興味無い?なにか悩んでることありそうだから」


俺の心を見透かしたような誘いだった。


どうせ帰ってもオナ……。


やることないからな。


「いいよ。どうせ帰ってもやることないし」

「こちらへどうぞ」


俺は佐藤に案内されて部室にきた。


ちなみに妹が同じ占い部なんだ。


「えー。こほん。座ってね」


椅子を引いて佐藤と向かい合った。


机に水晶を置いて手を当ててた。


「本格的なんだね」

「形からですから。コホン」


それから質問してきた。


「えーっと、なんの悩み事抱えてるか、聞いていい?」

「実はさ。好きな人がいるんだよね」

「誰?」

「それは言えないよ(俺の好きな人って妹だし)」


普通、公衆の面前で妹が好きなんて言えない。


ちなみに俺と妹は血の繋がりがない。


初めは血の繋がりがあると思ってたけど少し前血の繋がりがないことを知って、正直欲情してしまっている。


そしてその時に気付いた。


俺は妹を【女性】として見てるんだって。


でも血が繋がってないとかそんなことほかのやつは知らない。

だから面と向かって名前とか、妹が好きなんて言えないのだ。


「あー、あのさ」

「うん」


佐藤はマジメに聞いてくれようとしているらしい。


とりあえず俺は聞いてみることにした。


「佐藤って彼氏とかいるの?」


顔を真っ赤にして両手を前に突き出してブンブン振って否定する。


「いいいいい、いないよ?!いるわけないよ?!私だよ?!」


佐藤は地味なやつだ。


髪の毛は目にかかるくらい長いし。

クラスでもほんとに目立たない。


男子が話しかけてるとこなんて見たことないし、俺くらいしか話さないんじゃないかな。


たぶん今日も通りがかったのが俺じゃなかったら、誰も荷物なんて拾ってないような女の子。


「ごめん、いらないこと聞いたかな?」

「ううん。大丈夫」


彼氏がいるならさ。いろいろ聞けることもあるかと思って聞いたんだけどどうやらいないようだ。


佐藤は聞いてきた。


「好きな子ってどんな子?」

「なんていうんだろ?おしとやか?大人しい?清楚?」


俺は佐藤を見て口を開いた。


「ちょうど目の前にいる佐藤みたいな感じの子」

「ふんふん」


なんか急に食いついたような気がするのは気のせいだろうか。


っていうかなんか話してて恥ずかしくなってきたな。


何で俺クラスメイトに恋愛相談してるんだろ。


「あ、あのさ。その子この学校?」


佐藤の質問に頷いた。


「うん、この学校」


ごくりって唾を飲み込んでから佐藤は聞いてきた。


「その子何部?」

「占い部」


俺は普段クラスメイトの名前なんて覚えない。

1年の時も覚えてなかったし。それは2年になっても変わらない。


だけど佐藤のことを覚えているのは妹がよく佐藤の話をするからだ。

部長は優しい、とか。


「ごめん。聞いていい?何年生?」

「2年だよ」


ちなみに妹とは同年齢だ。

俺が5月生まれで妹は12月生まれ。


事情があってこんなことになってる。


「名前の頭文字教えてくれる?」

「"さ"だけど」


妹の名前は東條 紗奈だから頭文字は「さ」だ。


また佐藤がごくりと息を飲んで言った。


「確認なんだけど。それで、東條くんはその子とどうなりたいの?」


「とうぜん恋人になりたい。俺から告白しようと思ってる。その子たぶん俺の気持ちに気付いてないから」


そう言うと佐藤は水晶の中をガン見して言った。


「なんで告白しないの?」

「関係が壊れるのが怖い。毎日顔を合わせるような仲なわけだし。もしさ、断られたら。めちゃくちゃ気まずい」


佐藤は両手で水晶をこねくり回してからこう言った。


「大丈夫だよ。関係なんて壊れない」


俺は今机に両手を置いてた。

その両手を優しくソッと握ってくる佐藤。


「占い部の私が保証する。絶対にその子とは両思いだよ」

「ほんとに?」

「うん。絶対にその告白は成功するから。その子東條くんの告白を待ってるから早く告白してあげて」


俺はそっと佐藤の手を離して言った。


「ありがとう。佐藤」

「告白の練習しなくていい?付き合うよ、私」


そう言われて少し告白の練習をすることにした。


「好きです。付き合ってください」

「分かりました」


そう言って佐藤は立ち上がって俺の手を握ってきた。


「こんな私ですけどよろしくお願いします。東條くん」


よし!これで練習は終わりだ!


俺はまたそっと佐藤の手を離した。


「ありがとう佐藤。練習に付き合ってくれて」

「ふえ?うん。次は本番だね。期待して待ってるよ(今の本番でよかったのに)」

「うん!楽しみに待っててくれ(報告を)」


俺はそう言って佐藤にもう一度『ありがとう』って言って部屋を出ていった。


「えっ?」


ぽつんと残された佐藤は何故か呆気に取られたような顔をしていた。


「佐藤、相談に乗ってくれてありがとう。付き合えたら報告するからね」


俺はそう言って部室を後にした。


そのあと佐藤の絶叫が聞こえた。


「ええええええええええええええええええええええええええ?!」


ゴキブリでも出たか?

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