その3 信じ難い。
話を聞くのはいいけれど、予約してる宿にキャンセルの連絡入れないといけないな。
イケ:「何からお話ししたらいいのか...」
順を追って、って言ってたね。
わかるよわかるよ、順の中のどこから始めるか悩むよね。
イケ:「名刺をご覧になられたのでご存知かと思いますが、私は召喚士です。」
うん、あれは見たけどさあ...。
これ、マジで言ってるんだろうか?
そろそろちゃんとリアクションすべきな気がする。
新井:「召喚士って何ですか?あ、それより、元々予約していた宿にキャンセルの連絡をしていただく事ってできます?」
イケ:「...わかりました。そこからお話しします。」
あ、あの、キャンセル...。
イケ:「元の世界の事が気になるのは理解できます。では、私のを使って電話してみてください。」
イケモトはそう言って、スマートフォンを渡してくれた。
...これ、なんて機種だ?
そういや宿の電話番号憶えてないな...。
普段から自分のスマートフォンに全てを頼っている私は、そういうのをメモに書いたりしていない。
改めて自分のを取り出してみるが、やはり電源が入らない。
しょうがない、イケモトのやつで検索させてもらおう。
....
初めて見るサーチエンジン、なんだか全体的におかしい。
検索自体はできたが、宿の情報が出て来ない。
自分の職場である施設名もヒットしない。
試しに、数少ない友人の電話番号にかけてみた。
プルルルルル、プルルルルル、プルルルルル...
呼び出し音は聞き馴染みのあるものだった。
4コール目で、相手が出た。
相手:「ヨボセヨ。」
!?
何語?
ってか、誰?
相手:「ヨボセヨ。」
???
韓国語?
ってか、誰?
新井:「あの、砺波ユウさんの番号で間違いないですか?」
相手:「ネ?」
新井:「oqo-×▲〇×-◆□△▽の番号で合ってますよね?」
相手:「ソリ。」
ツー...ツー...ツー...。
切られてしまった。
かけた電話番号を画面で確認してみる。
ユウのもので間違い無い。
んー、別の人にかけてみよう。
えーと、私、知り合い少ないからな...。
ってか、番号憶えてないよ。
あ、憶えてるのが1人居た。
気が進まないけど...あいつにかけてみるか...。
...でも、別れてから電話したっけ?
番号変わってたら、意味無いな。
新井:「あの、宿の情報が出て来ないし、友達にも繋がりません。」
イケ:「でしょうね。ここは、あなたの居た世界とは違うんですよ。」
新井:「でも、日本ですよね?日本語で話してるし。」
イケ:「ニホン...あなたはニホンという所に住んでいたのですね。」
新井:「え?ここ、日本じゃないんですか?」
イケ:「ニホンというのは、国の名前ですか?都市名ですか?」
新井:「国名ですよ。」
イケ:「ここは
新井:「ははは...。」
真顔で言われた。
固定電話とか、他の人の携帯電話借りたりできないかな?
うーん、同じ事の繰り返しかもしれない。
新井:「話の続き、お願いします。」
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