窃盗罪いろいろ
「電気」
「正解!」
「じゃあ、俺からも問題を出すぞ。禁制品、例えば麻薬や覚せい剤を盗んだ場合、窃盗罪は成立するか?」
「う~ん、公序良俗に反するから、窃盗罪は成立しないのでは?」
「公序良俗に反する行為は、法律行為の無効にはつながるが、俺が今聞いているのは窃盗罪の構成要件だ」
「そうか。なら、禁制品でも窃盗罪は成り立つというわけか」
法律の世界というのは一般常識で考えると落とし穴がある。
前にも語ったけど、盗られた自転車を自分で取り返すと窃盗罪の構成要件を満たしてしまう、みたいに。
「では、問題。窃盗の未遂は処罰の対象か?」
「もちろん、窃盗未遂罪はある」
「簡単すぎたか。では、これならどうだ? 平成18年、窃盗罪の法定刑が大きく変わった。それは何?」
「う~ん……厳罰化?」
「違うな。では、答えを教えよう。以前は窃盗罪には罰金刑がなく、懲役のみであったが、平成18年からは罰金刑が加わった」
「え? じゃあ、窃盗罪で実刑判決になれば、必ず懲役になっていたってことか。なんで最近まで罰金刑がなかったんだ?」
「窃盗するやつは金がないやつだから、罰金刑なんて意味がない、と考えられてきたからだよ。しかし、時代は変わって、金があっても窃盗するやつが増えたからな。それで罰金刑が導入されたってわけ」
「懲役って結構重たい刑罰だよな……微罪であっても、窃盗罪で判決下すと懲役刑になってしまうから、裁判官も判決に二の足を踏んでいたってことか……でも、罰金刑なら刑を下しやすいよな。よし、じゃあ、俺からも問題。窃盗罪の刑が免除されるのは、加害者と被害者がどんな関係の時?」
「犯人に責任能力がない時?」
「いやいや、そういう一般論ではなく、窃盗罪に限った特例で答えてほしい」
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