どうやら学校一の美少女に好かれてるようです

皐月 ふつ

1章 龍也に初めての友達ができたようです

第1話 神田 龍也、美少女と遭遇する

「よしこれでいいかな」

 4月下旬の日曜日、神田かんだ 龍也たつやは家から近い大型商業施設に出かけるために身だしなみを整えていた。

 やや伸びた髪にできた寝ぐせを櫛で整え、黒と白の清潔感のある服装を着て、そして最後に軽く身だしなみの確認をして龍也は家を出た。


 親元を離れて一人暮らしをしているマンションから歩くこと十数分、お目当ての大型商業施設に到着する。


(相変わらず人が多いな)


 日曜日の昼だからか店内は大勢の人で賑わっていた。

 龍也は商業施設内にあるアニメショップに向かい先日発売されたラノベの新刊と好きなアニメのグッズを数個買い昼食がまだだったことを思い出し、ついでに済ませておこうと思いフードコートに向かった。


「なー嬢ちゃん、俺らとこの後遊ばね?」

「………」


 フードコートについて初めに目に入ったのはテーブル席で一人の女の子が三人の大学生くらい男に囲まれナンパされている光景だった。

 時間は食事時を過ぎ人の数はピーク時よりは空いているがそれでも人数は少ないとは言えない、そんな中堂々と複数人で一人の女の子を囲んでナンパしている。


(ラノベとか漫画ならイケメン主人公が助けるんだろうなー)


 女の子の顔は囲まれているせいでよく見えないがテーブルの下から男共に囲まれている恐怖で手が震えている。

 そんな女の子の震えている手を自分はどうにもできないとその場から離れようとした龍也は見てしまった。

 周りにいる人はというと関わると面倒だとあえてその席には近づこうとはしないためその席の周りだけぽっかりと席が空いていた。


(あんなの見てしまってら見て見ぬふりなんて出来ないよ)


 龍也は女の子を助けたいと思った。思ってしまったのだ。

 無策では男三人には太刀打ちできないと思った龍也は大手のMマークがトレンドマークのファストフード店で二人分のバーガーのセットを買い定員に頼みテイクアウト用の紙袋を1枚もらい例のナンパ現場に向かう。


「僕の連れになんか用ですか?お兄さんたち」

「あん?誰だ...うっ」


 とお兄さんたちのリーダーと思われる男が振り向く、それに続いて他の二人も龍也を見る。


(ヤバい思ったよりこの人たち怖い)


 大男三人に睨みつけられるのは思ったよりも怖く人見知りな龍也はそれ以上何も言えずリーダーの男を見続けることしかできなかった。これはこんな女の子が何も言えないのも仕方ないと思うと同時に龍也はかっこつけて助けに来たはいいもののビビって何もできない自分に羞恥を感じていた。


「んだよ、男持ちかよ。行くぞお前ら」


-数秒後、龍也の体感数十分後、男共は根負けしたのかそそくさとその場を去っていった。


「あっこれよかったらどうぞ、いらなければ捨てるなり持って帰るなりしてください」


 と龍也は一人分のセットとテイクアウト用の紙袋を置いた。

 女の子が顔を上げ龍也を見る。


(あれどこかで見たような気がするけどどこだったかな)


 その女の子は超が付くほどの美少女だった。

 歳は龍也と同じくらいで十五~七歳くらい。

 少し幼さを残す顔だが発育がよく出るところは出ていて過ごくスタイルのいいビジュアルで全体的に超高水準だった。

 これ以上じろじろ見てはさっきの男共と同類になってしまいかねないので自分の分のセットを持って別の席に移動しようと女の子に背を向ける。


「あの、先ほどは助けてくださってありがとうございました」

「いや全然自分はほとんど何もできていないのでそれでは」


 龍也は再び女の子に背を向け離れた空いている席に座りバーガーセットをたいらげると店を後にし帰路についた。

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