第11話 拙者、ホタテ漁体験をする
今回はホタテ漁体験の話をもう少し詳しく書いていくでゴザル。
3月時点では、4:45に出港するため、その30〜40分前に集まり準備をするでゴザル。
出港の準備としてすることは、
・停泊のために結んでいるロープの一部を解く
・ピンドルの一部を外す
・八尺のセット
でゴザル。
何故、「ロープの一部」「ピンドルの一部」なのかでゴザルが、出港の準備は余裕をもって行うため、準備終了と出港の間には10〜15分ほどの時間があるでゴザル。
そのため、出港の際にサッと解いたり外したりできる程度のロープとピンドルを残すことで船が流されたり、岸壁にぶつかることを防いでいるでゴザル。
◇◆◇
さて、ここからは拙者が体験でお世話になった第10オホーツク丸(仮称)の話になるでゴザル。
船頭殿はこの町の船頭の中でもかなりのやり手という話でゴザル。雰囲気からそれが伝わって来る方でゴザル。
機関員は年配の方ですごくいい方でゴザル。体験が終わり、正式に契約した後もすれ違う度に「元気にやってるか?」と声をかけてくれて励みになったでゴザル。
他二人の船員の方は寡黙な方たちでゴザルが、一人は補助員の時、すぐに船員昇格の話が出るほどやり手の方で、もう一人はすごく優しい方という事が後に分かったでゴザル。
ホタテ漁船は船頭、機関員、船員3名で構成されるのでゴザルが、残る一人の船員の方は拙者が体験で乗船した3月下旬段階で既に辞めていたでゴザル。漁師というものは、船酔いという壁が第一段階にあり、それが大丈夫だったとしても体力という壁があるでゴザル。拙者は船酔いについては問題なかったでゴザルが、体力面の苦労がつきまとったでゴザル。今ではマシになったでゴザルが、今後の課題として残っているでゴザル。
◇◆◇
出港した後、30分ほどで漁場に着くでゴザル。漁場に着いたら、右舷と左舷にセットされた八尺を投げるでゴザル。八尺は砂を掘り返す鉤爪が付いている前の部分と後方のドンズと呼ばれる鉄の棒、その間の網の部分で構成され、前の部分は金具で固定され、ドンズはカイシンスに立てかけているでゴザル。
八尺を投げる前にそれぞれの担当の位置につくでゴザル。八尺を投げる係と八尺についているワイヤーの長さを調節する係でゴザル。
八尺は右舷から投げるでゴザル。理由は船と八尺をつなぐワイヤーは右舷の方が長いからでゴザル。右舷と左舷でワイヤーの長さを変えるのは、左右の八尺が絡まないようにするためでゴザル。
前回も書いた通り、この時期は1時間ほど船で網を引っ張るでゴザル。引き揚げの時間が来たら、船頭殿は船員に対して合図のブザーを鳴らすでゴザルが、エンジンの音の様子で分かるでゴザル。そして、船と八尺をつなぐワイヤーを機械を使って巻き上げるでゴザル。
引き上げた左右八尺から甲板にホタテを移して、八尺をセットしたら、船は次の八尺の投下ポイントまで移動でゴザル。この間、船員は担当の場所でホタテの選別を行うでゴザル。投下ポイントに到着したら、一時中断して八尺を投下するでゴザル。投下後は、再び選別を行い、終わったら船員室で休憩でゴザル。
これを10〜12回ほど繰り返すでゴザル。
この時期だと、目方で3.5tに達するか、午後3時になったら終了でゴザル。
帰港して、陸揚げ、片付けを終えて、1日の仕事は終わるでゴザル。
用語説明
・ピンドル
停泊している船と岸壁がぶつからないようにするための緩衝材。
スポンジ状の玉を連ねたようなものや釣りのときに使う浮きを大きくしたものがある。
・八尺
ホタテ漁に使う漁具。
前方の砂地を掻いてホタテを掘り出すツメが付いている桁、その桁に掘り出したホタテが入る袋状になった網がついている。更に網の反対側にはドンズと呼ばれる鉄柱が付いている。桁の部分のみを指す場合もあるが、網部分とドンズを含めて呼ぶことが多い。
幅が八尺(2.4m)あるため、このように呼ばれる。
・カイシンス
船のヘリのこと。
・機関員
エンジンの管理を行う役職。
・ホタテの選別
船では単に「選ぶ」という。甲板中央のダンブルという空間に正貝を放り投げ、殻が割れたホタテ(割貝、破貝。いずれも『われがい』とよむ。オホーツク沿岸では割貝、サロマ湖辺りでは破貝と書くようだ)・ヤスデ(ヒトデ)をカゴに、ツブなどの海産物をはバケツに回収する。
カニについては、後でまとめて放流する。
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