クラス転移して授かったのは、2つの読めないスキルでした〜追放された無能勇者の容赦ない復讐〜

OT-1

第1章 まずは生き残るために

第1話 転移からの追放

ワイワイガヤガヤザワザワ

高校生の話し声が聞こえる。


「すげー!この金って本物なのか!」

「見て!これ可愛い!」


など、高校生の様々な話し声が聞こえる。

そんな中、一人で行動しているのは、俺こと元谷将人だ。好きなものは兵器のミリオタだ。そんな俺の在学している、日ノ丸高等学校の高校3年生の生徒は今、修学旅行に来ていた。そんなとき、


「うぇ?!なんだコレ!?」

「うおお!魔法陣だ!」


という声が聞こえてきて、自分の足元を見る。すると、いきなり紫色の強い光を出した。


「うっ!」


とっさに目を両腕で隠した。

目を開けると、そこには、初老の男性と、俺たちと同じくらいの年齢の外見の女性と、数人の全身鎧を着て、武装した者達が立っていた。

クラスの生徒が騒ぎ出す。


「どこだよここ!」


そんな声をあげるのは、この3年2組の中心的な生徒である、原本蒼汰だ。身長も高く、顔もいい、俺とは正反対のようなやつだ。


「ちょっと!帰りたいんだけど!」


この女性特有の高い声を出したのは、これまたクラスの中心である、有本愛美だ。顔、スタイル共によく、クラスの男子からモテているという話だ。


「皆、一旦落ち着いて!慌てても何も分からないよ!」


この騒ぎの中落ち着いているのは、吉田拓海だ。成績優秀、容姿端麗で当然モテている。


「皆さん、いきなりこのような場所で混乱していらっしゃると思いますが、一度落ち着いて私達のお話を聞いてください!」


女性がよく通るきれいな声でみんなに呼びかける。それと同時にみんなの注目が全て集まる。


「冷静になってくださりありがとうございます。私はこの国、ロードメル王国のアルメリア・ロードメルです。以後お見知りおきを。

それでは早速皆さまを召喚した理由を話させていただきます。」


と言ってから体感で約十分ほどの聞いた話をまとめると、この世界には魔王なる悪の権化のような奴がいるらしく、この世界の人物では討伐が難しいことから、俺たちを読んだとのことだ。また、よくあるネット小説らしく、魔王を討伐しないと帰れないらしい。

帰るための魔法陣に莫大な魔力がいるらしく、それを補えるのが魔王の心臓しかないためらしい。さらに、この世界には魔法やスキルがあるらしく、戦闘に使うものから職業で使うものまで多岐にわたるとのこと。


「それでは、皆さんのお名前をお聞きしたあと、スキルの鑑定を行います。一列に並んでください。それでは貴方からお願いします。」


アルメリアがそう言うと、皆が従って名前を言っていき、大きな水晶玉のようなものに触れていく。すると早速


「おぉ!」


という声が上がる。


「拓海さん!すごいですよ!あなたのスキルは勇者です!」


なんと、吉田は花形のスキルである勇者だったようだ。その後も、


「愛美さん!あなたは聖女です!」


「蒼汰さん!あなたは剣聖です!」


といった、名前からして強そうなスキルの名前が出てくる。自分の番はまだかと待っていると、


「次はあなたです!お名前をお願いします!」


と言われたので、こちらも


「こんにちは。元谷将人と言います。」


と礼を持って答える。


「それでは、この鑑定魔水晶に手を置いてください」


と言われる。

これってほんとに水晶玉だったのか、なんてことを考えながら手を置くと、


「え…?」


といった不安な声が聞こえる。

気になって声をかける。


「あの…スキルはなんですか?」

「…2つです。」


と言われる。


「?2つあるならいいんじゃないんですか?」

「…どちらも名前も効果も分かりません」

「…え?」

「あなたは無能ですね」

「いやでも、スキルはあるんですよね?」

「使い方がわからないスキルなど無いのと同じです。貴方だけ期待外れでしたね。他の方はすごく強いスキルを持っているのに…」


いきなり態度が豹変する。まるで汚物を見るような目で睨まれる。


「はぁ…もういいです。戻ってください。」

「わ、わかりました…」


いきなりそんなことを言われ呆気にとられていると、戻るように言われる。その後も続けるが俺のときのような態度を受けた者はいなかった。最後の人が終わったのか、アルメリアが、


「皆さん、ご協力ありがとうございます!

それでは今から勇者様たちには、王城案内をしたいと思います。…ですが、その前にやることがあります。」


そんなことを言われ、俺含め皆が戸惑っていると、


「何キョロキョロしてるんですか。貴方ですよ。元谷将人さん。」

「お、俺ですか?」

「当たり前じゃないですか。スキルを2つも持っているのに、名前も効果もわからない無能勇者はいりません。貴方は要りませんので終の森と呼ばれる強力な魔物の蔓延るところに転送するので餌にでもなってください。」


そんなことを言われ、頭が真っ白になっていると、


「え〜!お前スキル2つ持ってんのに無能なのか!おもしろ!アルメリアさんの言うとおりだ魔物の餌にでもなってこいよ!まぁ、無能が役に立つんだ、嬉しいことこの上ないだろう?」


と原本が言ってくる。みんなも一緒になって、


「む・の・う!む・の・う!」


と、手を叩いて囃してくる。


「な、なんでそんなこと言うんだよ、俺もクラスメイトだぞ?」


というと、吉田が


「…悲しいけど将人くん、君をこれから起こるであろうことに同行させることはできない。悪いが…犠牲になってくれ…」


と言ってくる。すると先生…南和郎が、


「吉田くんの言う通りだよ、将人くん。みんなのためだと思って、わかってくれないか?」


なんて言ってくる。するとアルメリアが転送の準備をしていたのか魔法陣を敷いていた。


「もういいですか?将人さん。最後に言いたいことはありますか?これでも私は血も涙もないわけではないので、一言くらい聞いてあげますよ?」


なんて言うのでもうどうでも良くなった俺は、


「…じゃあ最後に一言、くたばれクソども。」

「そうですか、くたばるのは貴方ですけどね、それではさようなら。」


という言葉と同時に魔法陣がここへ転移したときと同じように紫色に光る。


(…結局誰も助けようとしなかったな、いくらスキルの効果がわからないからって殺すか?普通)


と、死が近づいていておかしくなったのか、この期に及んで俺はそんなことを考えていた。光が止むと、そこは見渡す限り木しかない暗い場所だった。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

お読みいただきありがとうございます

初投稿の作品となっております故、

至らぬ点があると思いますので、

誤字などを見つけたらコメントして教えてください

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