第40話 脈絡(つまり、人の生き死にだね)

 ――あーあー、一本でいいのに。さ、パパが〈イエロー〉をぶっ壊すから、早く一緒に故郷に帰ろう。


 ここを狙っている宇宙人って、パパだったんですか?


 ――お前をそこから解放するには、これしかないと思って。


 余計なお世話です。

 むしろ、ここを壊されても困るんですよ。そもそも、パパはあたしを見捨てていったじゃないですか。

 かぐやさんという人と、うまくやってるんでしょう?


 ――それはさ、なゆたが実は、ママが欲しいんじゃないかと思って……。そりゃあ、かぐやの尺八はすごいけれど、ぼくたちはそれだけの関係じゃなく、プラトニックかつ、同郷のよしみというか、複雑なヒキコモゴモがあるというか……。


 パパ、さっきから、随分とこじつけチックじゃありません?


 ――何を言っている、こじつけをバカするな。お前もパパとママのこじつけから生まれたのだよ。


 ママはいないんじゃなかったんでしたっけ?


 ――ぎく。酒は呑んでも呑まれるなだぞ、なゆた。


 急にそんなこと言われても、さっきからもう、メチャクチャ。パパは、大事なことを適当に言うし、どうでもいいことを大仰に言うのだから。


 ――ほ、ほら、あれさ。世界から、脈絡(つまり、人の生き死にだね)を消去してしまったからさ。


 もう、いいです。

 あの、黄色いものはどうしたらいいですか?


 ――テキトーに窓から捨てちゃえ。


 あ、そうですか。

 あたしはこの世界に残った最後のその場の空気を読み、黄色いものを放り投げました。


 あとは、どうすればいい?



(……レーザーなんて、甘くみられたもんだ)

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