log30...さる機体乗り換え風景について(記録者:フルチューン・MALIA)

 思い立ったが吉日、を実践すればトントン拍子にすすむものですね。

 KANONカノンさんは、アルバスとアーテルの武器と火器管制システムを設計した後、天権ティエンクァン公司へと移籍。

 TERUテルさんの手引きと協力で、対消滅ジェネレータと対消滅ブースタなる物騒なモノが絶賛量産されているようです。

 天権に突如、新星のごとくあらわれた反物質開発者のニュースは、またたくまに爆・拡散。

 オーバーテクノロジーを独占した公司は、えげつない速度で版図をひろげています。

 実のところ、わたしたちのタイニー・ソフトウェアが陥落圏内のところまできています。これぞ、自業自得というものですね。

 HARUTOハルトさんは言い値で買うと言ってましたが、KANONカノンさんはTERUテルさんの闇ルートを使って、こっそり、タダで分けてくれました。

 HARUTOハルトさんも、最初の宣言通り、トゥルビネ・インダストリー純正の手足パーツを買い集めています。

 ……ふたりとも、まったくお金に糸目をつけていません。

 この戦いのあと、ゲームを去るくらいの覚悟でいるのでしょう。

 あっ、それはわたしもか。

 さて。

 まず、わたしのver2.3にアップグレードされたアーテル・セラフの変更点見ていきましょう。


 ・フロート形態からタンク形態への変形が任意で可能に

 ・レーザー大鎌サイズムーンライトの出力倍加、および“光波”とよばれる遠距離攻撃も可能に

 ・背部兵装に“30連装反物質ミサイル”を左右に一門ずつ、つまり最大60連装を追加(リーズン式オービットは出力倍加の上で据え置き)

 ・タンク形態の手持ち武器を、ミサイルの武器腕に換装(モチ、反物質ミサイル)、フロート形態時にいつもの五本指マニュピレータに変形

 ・胸部マイクロミサイルを胸部ガトリングレーザー×2に換装

 ・アルバスほどではありませんが、全身フレームパーツをグレードアップ


 左右の30連装ミサイルも翼みたいなフォルムで、リーズン式オービットといっしょに装備すると、二対・四枚の翼になったようで、かっこいいですね。

 ゴテゴテのミサイラー機体になりましたね。

 ミサイルは一度撃てば、電子誘導で敵機を追いかけてくれるので、助かります。

 本命の接近戦とオービット操作に専念するには、タンク形態をミサイラー機にするのが一番かな、と。

 エネルギー効率のいい反物質によって、ミサイルの超小型化が実現したおかげで叶ったムチャですね。

 次に、HARUTOハルトさんのアルバス・サタンver2.3をご紹介します。

 見た目からして、更にガッチリと、強そうな機体になっていますね。

 フレームパーツの一新については、繰り返しになってしまうので、割愛します。

 あとは、

 

 ・背部ショットガンウイングを対消滅キャノン・“サクリファイス”に換装

 ・オービットとビームマシンガンの出力が大幅向上

 ・ビームマシンガンとチェーンガンを双身式にして秒間あたりの弾幕が二倍

 

 目玉商品の対消滅キャノンについてはあとで他の人が解説すると思いますが、チェーンガンを双身式にしてまで残したのが、なんとも“らしい”と思いました。

 実弾武器が手元にないと落ちつかない、だそうです。

 ビームマシンガンともども、放熱問題でKANONカノンさんの頭をなやませたそうです。

 結局これも、移籍した天権パワーで冷却機ラジエータをつくって解決できたそうなのですが、ともすれば反物質兵器よりも厄介な仕事だったとかなんとか。

 

 こうして見上げると。

 アーテルもアルバスも、一回りくらい大きくなりましたね。

 それのブースタが、核融合の千倍のエネルギー効率で動くわけです。

 軽く動作テストをしましたが、パイロットにかかるGがとんでもないことになっていました。

 全身をプレス機でつぶされるかのような、それはひどいものでした。

 限界まで強化手術したわたし――具体的には第十世代の強化人間――でも、気をぬけば意識が飛んでしまいそうです。

 まあ、最初らへんでKANONカノンさんもおっしゃってましたが、VR物理演算だから、まだこの程度で済んでおり、現実世界では、今までの機体ですらも発進、即、死となりかねません。

 天権でも、技術革新に沸き立つ一方で「乗れたもんじゃないぞー!」ってクレームが相当きたみたいですね。

 第七世代以上の強化人間手術の需要も、あちらで爆増したそうです。

 まあ、そのへんはまた別の話ではあります。

「それじゃ、いきましょうか。HARUTOハルトさん」

「……ああ」

 出撃の時間です。

 目指すはインド洋上空はブラフマー財団本部・空中要塞“マヌ”。

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