第17話 誓いのキス?



 揺れる馬車の中で、不自然な姿勢のデシルが転げ落ちないよう、サリダの大きな手で、腰を支えられ… 突然、デシルは唇を奪われた。


 とても、さりげなくサリダにキスをされたので… 一瞬デシルは、自分が何をされたのか、理解できなかった。



「・・・っ?!!」


「まずはちかいのキスだ!」

 ギョッ…! と驚き固まるデシルに、サリダはそう言った。


「…っ?!」

“誓いのキス”?! 今、キスされた?! 今、僕はサリダ様にキスをされたの?! 唇に?! サリダ様の唇で?! フリオにさえ、唇にキスされたこと… 無かったのにぃ?!


 婚約してからは、伯爵家と家族ぐるみの付き合いだったため、デシルとフリオは2人っきりにされたことが無く、頬や額に挨拶のキスは許されたが… 唇へのキスは双方の両親たちが許可しなかった。


 学園に入学してからは、フリオから距離を置かれたため、デシルは唇にキスをされる機会が無かったのだ。


 それなのに、数時間前に初めて会ったサリダに、突然唇を奪われてデシルは呆然とする。



「一度では、足りないな…?」

 突然のキスで、顔を赤くして固まるデシルの唇に、サリダはもう一度キスを落とす。


 サリダはいったんキスを止めて、デシルの細い腰をグイッ… と引き寄せ… 体勢を崩したデシルは、サリダの肩にあわててつかまった。


「あっ…?! わあっっ…?!! サ… サリダ様っ?!」


 デシルは太ももを持ち上げられ、サリダのたくましい膝の上にひょいっ… と下ろされ座ってしまう。


「デシル」


「あ… あの、サリダ様…?!」


 膝の上に座り、目線がサリダより少し上になったデシルは、名前を呼ばれておろおろと見下ろすと… 再び唇を奪われる。


「んんんんっ……???」

 サリダ様?! サリダ様?! サリダ様?! サリダ様?!!!

 キスしてる?! キスしてる?! キスしてる?! キスしてるよ―――っ…?!!! “誓いのキス”……て何?! 何の誓いなの?!!


 




※カクヨム様用はR要素を削除し、爽やかバージョンで投稿しております。

R18濃厚エロバージョンはアルファポリス様にて投稿(・´з`・)。

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