Bringer of glory ━閃光━

@compact5ma

プロローグ ━全ての発端━

***



夜が好きだ。

人目につきにくいし、天候もさほど気にならない。

軽く走ろうかな。

皆が寝静まったころ、私の夜は始まる。

その夜こそが私のテリトリーだ。

(3、2、1)

「go」

走り出す。

走っている間は楽だ。

何も考えなくてすむから…


山の中の木をかき分け、走る彼女の残像は閃光となった。

光をまとい走り続ける。


(…視線?)

誰かいるのかな?

普通じゃないね、私を肉眼で捉えるって。

気配も消してるのに…


仇となった。

視線ばかり気にしていて、眼の前の大木に気づかなかったのだ。

(まずい━━━!)


そしてその次の瞬間、彼女は木にぶつかるなどということはなく…

ただ、落ちた。





***




『”ギフト”を選択して下さい。』

機械音声。

(ギフト…?)

『答:欲しい能力。』

(…)

紫の空間を漂う。

(…相棒)


闇が溶け、落ちた。

(わーっ待って待って待って⁉)

ここから落ちたら確実に死━━━━

あれ?

空で…止まって…


右を向くと━━━━同年代だろうか、少年がいた。

「なんで空から女の人がふってくるんだ?」

それが━━━━これから何千何万と聞き続けることとなる━━━━

彼の声、それも第一声だった。

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