1話完結の異世界転移物語
栗眼鏡
物語の始まりは怪しさから
学校からの帰り道。僕と琢磨は知らないおじさんに声をかけられた。
「やぁ、君たち。ちょっと寄り道してかないかい?」
おじさんは誰がどう見ても怪しいと思う
「君たちは
怪しすぎる…。
現代日本では、子供の
もちろん今年から中学2年生になる僕らもその教育は受けている。だが、僕ら男子はある一定の年齢を
『怪しいものは魅力的』
これを言葉で説明するのは難しいが、例えるならば。『
兎にも角にも、僕らはそのおじさんから『妖艶』と言う言葉は絶対に違うと思うがそれに似た怪しさを感じとり、
おじさんは通学路から
さて、いよいよ本格的に怪しくなってきた。
最初から怪しいものは怪しいのだが、『路地裏』『知らないおじさん』『ガラクタ置き場』ここまで
「さて、まずは『いらっしゃいませ』かな?」
おじさんはガラクタの山から
「ここは僕のお店でね。君たちは僕のお客。」
おじさんはボロボロの
「本当ならお気に入りの品物が見つかるまで見てってねって言いたいとこなんだけど、見ての通り屋根無しのオンボロ店でね」
おじさんは肩をすくめてジョークをかますが、怪しさがせっかくのジョークを
「そんなわけでちゃんとした商品は一つしか置いてないんだよ。」
そう言うとおじさんはズボンに引っ掛けていたストラップを取り外し僕らに渡した。
「それはね。異世界への鍵だよ。」
『異世界への鍵』…おじさんがそう言って渡したストラップはどう見ても鍵には見えなかった。剣と盾を模した二つで一つの一体型のストラップはお土産売り場で一度は見たことがあるようなアレとそっくりだった。
「そんな残念そうな顔しないでくれよ」
おじさんはタバコの煙を吐きながらニヤニヤとした顔でこちらを見つめる。その顔はまるでこれから自分のお宝を親に見せようとする子供の含み顔にも見えた。
「その盾に
このおじさんの心は僕らよりも少年なのかもしれない。
「はぁ…どうやら私は君たち少年の期待を裏切ってしまったみたいだね。」
おじさんは僕らの反応が期待したものと違ったためか残念そうにため息をついた。
「仕方がない。これでも僕は商売をしているつもりだからね。とっておきの機能を教えてあげよう」
「そのキーホルダーの盾、押しボタンみたいに見えないかい?」
おじさんに言われ、ストラップに目を落とす。確かに押せば引っ込みそうな出っ張りが盾のストラップに付いていた。
「押してみな」
盾のボタン…十字をきった
(アンビリーバボーっとでも言いたげな顔を僕らは
「やっといい顔するようになったな。少年たち」
さっきのキーホルダーはマジック道具とかだったのだろうか?
いま目の前で起きた現象を僕らは理解できていなかった。
「次は
おじさんから感じる怪しさはもう消えていた。
今自分たちは『未知』の二文字の前に居る。
この先の世界をもっと知りたい。『日常からの脱却』『色彩溢れる刺激的な日々』『まだ見ぬ冒険への道のり』
僕らの中の感情は『怪しさからの興味』ではなく単純な『好奇心』へと
僕らはおじさんの言葉に従い、僕が盾を、剣を琢磨が
剣が盾から抜けていくにつれ、
ゲームやアニメでよく見る展開に心臓の脈拍が加速していくのがわかる。
剣がするりと抜ける。
路地裏は真っ白な光で包み込まれた………
〈追記:〉
佐藤勇気(13)
渡辺琢磨(14)
後日、2人の
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