「随分と都合の良いことだ」と思いつつ、都合の良い言葉を求めている。


 選ぶものか、選ばれるものかといったら後者。
 そんな私は普通を得ることすら一苦労。
 今回も口の達者な不動産屋さんに従って、半ば誘導されていることを自覚しつつも、契約に同意をする……



 割り切っているというか、さっぱりしている主人公の語り口がやるせない作品。

 この作品を見て真っ先に浮かんだのは、「オススメ初心者セット」と称して、
 低スペックのPCと使われることのないサポートをそれなりの値段で売るという「やり方」でした。

 足元を見つつも、親切を装う人達。

 実態を公の場に出すのなら、きっと多くの人が憤るのでしょう……だから「ヒミツ」か「おまじない」か「当たり前」にする。
 そんな話は世間には山ほどあります。そうやって世間は成り立っていると思わせるくらいに。

 最後に苦笑する主人公の姿を通じて、こちらも苦笑してしまったのが、この作品の力の強さを証明していました。