闇医者少女が今日も強い

彗驊

第1話 三大派閥と私 by濡羽

私はいつもどおり学校へと向かった。自然と足取りは軽くなり、スキップを始める。私が通うのは中・高・大が一貫となった私立校、三ノ宮大学一貫校だ。紺色のミニスカート、黒タイツ。白いワイシャツに金のイヤーカフから下がるチェコガラスが目に止まる。銀髪と濡羽色の瞳、時折白藍びゃくらんに煌めく瞳孔━━。スタイルの良い美少女。それが私だ。少々自意識過剰な評価だが、他人に言われたままなのだから仕方がない。

「濡羽ー!おはよう!」元気に走ってくるのは瑠禾るか。黒髪に右サイドの白鼠しろねずメッシュ。丸い瞳は露草つゆくさ色で瞳孔はあおい。 どことなく冷静な雰囲気を持つ彼は最大派閥、悪夢コシュマールの中枢であるサファイアを示す宝石、蒼玉そうぎょくを担う。裏社会と密接な関係にある学園なので派閥が存在すること自体暗黙されている。「ねえさん、はよ。」微笑みを浮かべるのは亜麻色の長髪を緩く三つ編みにまとめ、木賊とくさの瞳に薄荷はっかの瞳孔を持つ美青年。瑠禾は身長が160、濡羽が155なので25cm差で自然と見上げる形になる。高校2年、汐露釉翡せきろゆうひ。私たちの一つ上の先輩であり、翠玉すいぎょく━━エメラルドを指す二つ名を冠する人物。「おはよ、釉翡。じゃなくておはようございます、先輩。」「姐さん、気にしないでいいよ。」察して言ってくれる。「そうだよぉ。濡羽にはみんなお世話になってるんだから。」若干の悪意を込めて瑠禾が言う。 二人は少し、仲が悪い。別に私は気にしないのだが。からからと笑い声を上げる少女の正体は━━闇医者。

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