結付きは契れない

月のうさぎ

第1話 桃色の景色で巡り合い

昔から変なものが私には見えていた。

顔の周辺にモヤモヤしたものが

漂っていたのだ。

そのモヤモヤには色があって、

表情、言葉、動き、声のトーンによって色が変わるものだ。


私は高校1年生八輪手 守菜(やわて すな)


私にはある特殊能力がある。

それは、人の感情が見ることが出来ること。でもそんなこと人に言っても信じてもらえないだろうから 先生や友達、親にも言ったことがなかった。

私はそんな不思議なものが見えるからいつも人の表情を伺って生きてきた。

そんな日々を何日も何秒も過ごしてきた。

そんなこんなで高校の入学式の日になった。


私はいつものように過ごしていると ゛一人気になる子を見かけた ゛いつもは誰を見てもスルーしてたけど私の目はどうしてもその子から離さない。

私だけなのか?と周りを見たが

自分だけらしい。

キョロキョロしていると隣にいたお母さんに注意された。

いつもはあまり怒られないので少しショックだった。

じきに入学式が始まった。


誰かの最初の挨拶が終わり、校長の挨拶も終わって。

その次の新入生代表による挨拶が始まったとき私は驚いた。

先程気になっていた子が新入生代表を務めていたのだ。

私はその子に滅法(めっぽう)弱いらしい。どうしても見入ってしまう。

これは勘違いかもしれないけれど目があったような気がした。

その瞬間 心がざわついた。

まるで自分の心が掻き乱されるような気がした。

私はそっと目をそらした。


長い長い話が終わり、新入生は教室に案内された。

私は別にどこでも良かったが、その子はどこなんだろうと。

自分の組が書かれている紙を見た。

そして私は同じ組だと知った。

担任の先生の紹介が終わり、自分たちの番になった。

出席番号一番から順に簡単な自己紹介が終わった。

私が気になっている子、実はもう名前を知っている。

なぜなら新入生代表で名前を言っていたからだ。


彼女の名前は 爾草 楓(そのぐさ かえで)。


とても賢そうに見えた。

いや実際はとても頭が良いんだろう。

新入生の代表をやってるぐらいだからな。

自己紹介も終わり休み時間がやってきた。

彼女は私に話しかけに来た。


「代表で文を読んでいたとき、私のことじ〜っと見てたでしょ?笑」


私は驚いて動揺してしまった。


「そんなに驚くことないでしょ?笑、ねぇもしかしてあなた人の感情が見えるでしょ?」


そう言われ私は固まってしまった。

そんなこと誰かにバレたこと無いからだ。


「ふふっ笑もしかして正解?笑なんで分かったかわかる?」


その質問を受けた私は分からなくて


「さぁ?なんで分かったの?」


そう聞くと


「実は私もねあなたみたいに能力を持っているの。何だと思う?」


(また質問…)


「…検討が付かない、早く教えて?」


「ふっふーん、それはね人の繋がりが線になって見えるの!」


「どういうこと?」


「だから〜、あの子とあの子の間に線があってその線の色によって関係性がわかるの!」


彼女が指さした方には二人の女の子がいて仲良しそうに話していた。

まぁあの感じなら誰でも友達って分かるのでは?と思ったが口には出さなかった。


「そうなんだ凄いね」


そう言うと彼女は


「そうでしょ〜!私達お互いに凄い力持ってるからさ。能力者仲間って事で友達になろっ!」


勢いが凄くてとっさに


「分かった良いよ。」


そう言ってしまった。

そこでちょうどチャイムがなり自分の席に戻っていってしまった。

その後は何事もなく1日が終わった。

次の日私は正式にこの学校の生徒となった。

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