第11話  悩み事(神園詩音side)

「はぁ……」

「……何でそんな辛気臭い溜め息吐いてるの?詩音」


 昼休み、あまり味のしないお昼ご飯を食べ終わり、仕舞っている途中でまた真砂希と話すことが出来なかったなぁ……と思いながら溜め息を吐いていると、一緒にお昼ご飯を食べていた吉川小春に心配げな顔を向けられた。


「ん~、いやちょっとね。色々あって……」


 少し言いにくいことなので言葉を濁したが、小春としては気になることだったのかこの話に食いついてきた。


「何? 色々って」

「いや、なんて言うんだろう……。私の気のせい……ではないと思うけど、いやもしかしたら気のせいかもしれないけどそれでもいい?」

「もちろん。詩音が気になってるんだったらその時点で気のせいじゃないと思うし」


 一人でクヨクヨと悩むよりも他人に相談した方がいいことの方が多いよねと思ったので小春に悩みを打ち明ける。


「……真砂希がね、一昨日から変なの。なんか急にその……私のこと露骨に避けだして、昨日に至ってはなんか私ともう幼馴染をやめようとか言ってきて……。それに今日の朝は一緒に学校に来ようと思ってずっと家の前で待ってたのにいつの間にかいなくなってるし」


 真砂希の態度を改めて思い出しながら、一通り伝えると小春は憤慨した様子を見せていた。


「ひょっとして遅刻したのってそのせい? というかまず何それ? いきなり? ひどくない? 詩音が普段から色々と世話を焼いてあげてるのに?」

「世話を焼いているってほどじゃないけど……まぁうん……」


 こんなことを言っているが、小春には敢えて話さなかった部分があるということに関連することで、一応私自身に心当たりもなくはない。


 先週、とある条件と引き換えに私がしたこと。ただそのことを真砂希が知っているはずがない。


 何故なら私が真砂希に伝えていないから。


「理由とか聞いてないの?」

「それは聞きたいんだけど、避けられちゃってるから何も聞けなくてさ……スマホでメールを送っても真砂希のスマホ壊れちゃってるからメールが届かないからさ……」

「うーん、そうなんだ……そうだ! じゃあ私が代わりに聞いておこうか?」


 どうする?と私を見てくる小春。私にとっては願ってもない提案なので素直に頭を下げる。


「本当? それじゃあお願いできる……? 別に今すぐにじゃなくていいから。機会を伺ってで」

「オッケーイ。任せといてよ。友達なんだから」


 これで少しは事態が好転すると思い、安堵の息を漏らしながら感謝の言葉を伝える。


「ありがとう! 本当に助かる」

「どういたしまして」

「じゃあ私一足先に教室に戻ってるね」

「うん。わかった。またあとでね」

「またあとでね」


 あたかももう問題が解決したように思い、少し浮かれた気分でスキップをするように私は教室に戻った。



 数秒後、詩音がいなくなったことを確認するように小林が影から姿を現した。


「亮太いたんだ……どうしたの?」


 少し愉しそうに笑っている小林を見つめる。


「よう小春、ちょっと神園に関して相談したいことがあるんだけどさ」

「またあの子のこと? はぁ……まぁいいけどさ……その代わり、今日の放課後こそは私の家来てよ。最近私には冷たいんだから」




————————


メンタルがしんどい

荒れたら逃げます

ネタバレは嫌だけど一応。これから本当の意味でのNTRはないはずとだけ(僕の気分次第ですが)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る