美人生徒会長vsモテモテ陽キャ一軍男子

凪@執筆休息中

第1話 勝負の始まり

私、片瀬凛香かたせりんかはこの磯川いそかわ高校の生徒会長を務めている。この高校の生徒は一部の生徒を除けば真面目な生徒が多いという印象だ。


そう。一部と言った理由。これを自分で言うのはあれだけど、私は皆が言うに、

『美女』らしい。確かに男子らに何回か告白されたことはあったけどまさか皆が私のことをそう思っているなんて知らなかった。この出来事をきっかけに私は、厄介な男子に捕まってしまった。


「よお〜生徒会長!」


そう。馴れ馴れしく生徒会長と呼ぶこの男こそが、私が厄介だと思っている男子生徒・一ノいちのせとおるだ。


「またあなたなの?いい加減、馴れ馴れしく挨拶するのはおやめなさい。」


一ノ瀬はガキみたいに笑って言った。


「まだその反応なわけ〜?こんなモテモテでイケメンな俺に構ってもらえて嬉しいでしょ〜?」


なによ?って。私は別にかまちょじゃないし、構ってほしいと頼んだ覚えもさらさらない。自意識過剰も程々にしなさいよね。


一ノ瀬が私にだる絡みをしてくるようになったのは意味がわからない理由だった。


―――イケメンで完璧な俺に、あんたみたいな美女が惚れないわけがないだろ?


それを聞いた時、こいつは一体なにを根拠に話しているんだ?と思った。


確かにイケメンが付き合うのは美女、みたいなイメージはあるけど、それはただの偏見だ、と私は思っている。私は美女らしいけど自分では自覚していないし、私はイケメンが好きな訳ではない。いや、イケメンは好きよ?だけど自意識過剰で、だるいイケメンは、もうそもそもイケメンとは言えないでしょうね。


「私のこの顔を見て、って感情、表れていますか?」


「え、その表情含めて俺への照れ隠しでしょ?」


こういうところが嫌いなんだよ…!!!なにが楽しくて私が照れ隠ししないといけないの!!それもよりによってアンタなんかに!


「とにかく。用はそれだけでしたら失礼します。」


早くこいつを視界から遠ざけよう。うざいものは排除だ。今までもそうしてきたでしょ。自分に合わない人は無理に合わせる必要はない。まあ、この私の昔からのやつで、女子の友達は少ないのだけど。そのせいもあってか、男子に色々と絡まれる。一ノ瀬以外にも。ほんと男って馬鹿よね。興味ないってこっちは思ってんのにぐいぐい来るんだもの。ほんとに厄介よ。


「おーっとちょっと待って凛香ちゃん?」


ほんとにやめてくれないかしらね。あんたなんかに下の名前をちゃん呼びされる筋合いないのよ。


「俺に興味ないことはわかってるぜ?その上での提案だ。」

「…なによ?」


「俺は生徒会長を惚れさせにいく。だけど、生徒会長が俺に惚れたらそこで生徒会長は負け。俺の勝ち。もちろん、生徒会長が俺を惚れさせに行くってのもありだよ。」


これが、なの?ばっかじゃないの。でも、なんだか面白いじゃない?


―――もちろん、生徒会長が俺を惚れさせに行くってのもありだよ。


この言葉が脳内で自動再生されると笑いが込み上げてきた。


「なんて面白いんでしょう!ええ。その提案、飲み込みますわ。こうなったからには本気で行かせていただきますわよ?」


「まさか生徒会長が俺の提案に安易に乗っかるとはなあ…。ちょっと驚きだけど、それなら俺も本気で行かせてもらうぜ。」


こうして私と一ノ瀬の勝負は始まった。

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